オリラジ中田騒動 「松本人志への提言」を現役バラエティ制作者はどう見たか
オリエンタルラジオの中田敦彦(40)が、自身のYouTubeチャンネルでダウンタウンの松本人志(59)に意見した問題が、お笑い界の内外で大きな騒動となった。この問題の本質は何だったのか。40代の現役バラエティ制作者を解説役に迎え、「中田騒動」を読む。
なぜ中田は声をあげた?
あらためて「中田騒動」を振り返り、問題点を整理したい。40代の現役バラエティ制作者に解説してもらう。
騒動は5月29日、中田がYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」で配信した約43分の動画から始まった。「【松本人志氏への提言】審査員という権力」と題されたものである。
動画はやや長いが、中田の提言はシンプル。中田は松本に最大級の讃辞を送った後、次のように語った。
「審査員は権力」「松本さんはほとんどのコンテストの審査員をやっている」「松本さんばかりがやっていると、お笑い界が1つの価値観しかなくなってしまい、それ以外の才能がこぼれ落ちる」(いずれも中田)
確かに松本は、漫才の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系、制作・朝日放送)と「キングオブコント」(TBS)の審査員を、大喜利の「IPPONグランプリ」(フジテレビ)ではチェアマンを、「THE SECOND ~漫才トーナメント~」(同)ではアンバサダーを務めている。
中田が特に踏み込んだのは、5月20日に放送された「THE SECOND」。その準決勝第1試合について言及した。滝沢秀一(46)と西堀亮(48)の「マシンガンズ」と、小宮浩信(39)と相田周二(40)の「三四郎」の対戦だった。
マシンガンズのネタでは、ネットに投稿された自分たちへの悪口を紙にプリントアウトし、それを読み上げた。漫才終了後、松本は「マシンガンズが途中で紙を出してきたのはどうかと」と寸評した。
「THE SECOND」の審査員は100人の観客。アンバサダーの松本は大会の象徴のような存在であり、審査には関係しない。だが、中田は松本が寸評したことにより、審査する観客の評価や価値観に介入したことを問題視した。
「(松本は)評価に介入するタイプ」(中田)
もっとも、「THE SECOND」での松本の寸評は準決勝の勝敗を左右しなかった。勝ち上がったのは紙を使ったマシンガンズだったからである。それでも中田は批判した。
「(松本の寸評があったので)余計に変な感じになっちゃうんですよね。『紙を出しても良かったの、良くないの』って」(中田)
さて今回の騒動はどうして起こったのか。バラエティ制作者はこう見る。
「(YouTube配信の10日前に行われた)『THE SECOND』がきっかけでしょう」(バラエティ制作者)
松本が紙を使って笑いを取ることに否定的だったことが大きいと、バラエティ制作者は見る。サンドウィッチマンの漫才にも手紙を読むものがある。ほかの芸人も紙を使う。それをお笑い界の絶対的実力者である松本が否定すると、やりにくくなる。
過去にも似た例がある。中本哲也(53)と石澤智幸(53)の「テツandトモ」が、2002年のM-1で審査員の故・立川談志さんから「お前らはここに出てくるやつじゃないよ」と言われ、リズムネタの是非が問われた。
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