「スシロー」6700万円“ペロペロ動画”訴訟 少年側が裁判記録で明かした「動画拡散は予想外」「高校退学を余儀なくされた」

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「釈明を求める」と逆質問

 少年側の「反論」はこれにとどまらない。動画の拡散騒動を受け、スシローが醤油ボトルの廃棄などに追い込まれた点について、迷惑行為が行われた席は特定できているのだから〈口をつけた醤油ボトルの効用が害されたことは間違いないが、全ての醤油ボトルの廃棄・入れ替えを実施した理由について、釈明を求める〉と、逆質問。

 また他店舗にも波及した「衛生管理面での信用失墜」に関しても、A店以外で〈衛生上の問題は発生していない〉として、〈衛生上問題はないが、店舗に行くのを控えることは、消費者の極めて主観的な心理状態であって、予見可能でない〉と指摘。少年に問うべき損害でないと主張した。

 その上で、スシロー側の訴えは〈被害自体も抽象的であり、因果関係も不明である〉とし、少年の迷惑行為によって〈訴状で主張されるような損害にはならないと考える〉との言葉で答弁書は終わっていた。

 一連の騒動を取材してきた全国紙社会部記者はこんな感想を漏らす。

「動画もあるため、迷惑行為自体は争う余地がない一方、少年側がスシローの示した損害額の算定根拠に細かく反論してきたのは意外でした。反省はしているけれど、“過大請求”にはきちんと声を上げる……といった態度を裁判官がどう判断するかが注目されます」

請求額は今後、増える予定

 答弁書に書かれた「反論」の真意を訊ねるため、少年側の訴訟代理人弁護士に取材を申し込んだが、

「お話しすることはできません」

 との回答だった。裁判記録には他にも、騒動後の少年について〈高校の退学を余儀なくされるなど、平穏な生活を送ることが阻害されるようになった〉との記載もあり、反省の意に加え、すでに“社会的制裁”も受けているといったニュアンスが読み取れた。

 一方のスシロー側も強気の姿勢は同じだ。迷惑行為を防ぐため、スシローは全国の店舗でレーンとテーブルの間にアクリル板を設置する対策を進めているが、〈今後、9300万円程度の損害が生じる見込みであり、損害の発生を踏まえて請求を拡張する予定である〉との言葉で訴状を結んだ。

 肝心の裁判の行方だが、提訴から3ヵ月近く経つものの、第1回口頭弁論の期日はいまだ確定していないという。

デイリー新潮編集部

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