巨人、世代交代が進まなかったチームに光が…“ドラ1” 浅野翔吾も「意外に早く一軍から呼ばれる」と球団関係者

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野手に待望の“若い力”

 首位阪神と大きくゲーム差を離された巨人。すでにリーグ優勝は難しいとの見方も多いが、待望の“大型野手”が育ちつつある。それが、二松学舎大付出身で、3年目の秋広優人だ。4月29日の広島戦でプロ初ホームランを放つと、その後も好調を維持し、打線を牽引する存在となった。巨人の高校卒の野手で、入団3年目以内にレギュラー獲得となれば、2008年に入団2年目でショートに定着した坂本勇人以来の快挙である。世代交代がなかなか進まなかった巨人にとって、まさに“希望の星”といえるだろう。【西尾典文/野球ライター】

 ただ、チーム全体の戦力を見ると、まだまだ若い力は必要である。ルーキーの野手では、ドラフト4位の門脇誠(創価大出身)が高い守備力とユーティリティを武器に、すでに一軍で戦力になっているが、もう1人開幕後に評価を上げているのが、萩尾匡也(慶応大出身)だ。

 大学時代は、3年生になるまで定位置をつかめなかったが、最終学年の春秋2シーズンで9本のホームランを量産。4年秋には打率.400、4本塁打、17打点で三冠王に輝いた。こうした活躍が評価されて、巨人にドラフト2位で指名された。

 キャンプでは2月下旬に二軍降格となったものの、イースタンリーグが開幕するとヒットを量産し、リーグダントツ1位の打率をマークした。さらに、一軍初出場となった5月28日の阪神戦ではプロ初ヒットを放っている。

 持ち味は、パンチ力のある打撃とスピードだ。大学時代には、バントの構えからヒッティングするバスターで、ライトスタンドに叩き込んだことがあり、インパクトの強いスイングで広角に長打を放つことができる。たくましい体格ながら脚力も素晴らしく、大学4年時には春秋合計で8盗塁をマークした。

 大学時代は少し守備のミスが目立ったものの、キャンプでの練習の成果もあってか二軍では好守備を見せている。一軍のレベルの変化球に対応するには、多少時間がかかるかもしれないが、萩尾は我慢して起用したいと思わせるポテンシャルを秘めた選手である。

ドラ1浅野は「体がちゃんと出来上がっている」

 そして、巨人ファンが気になるのは、ドラフト1位ルーキーの浅野翔吾(高松商出身)だろう。二軍で積極的に起用されているが、打率は2割台前半で、チームで最多の三振数を記録するなど、目立った成績を残せていない。

 しかしながら、巨人の球団関係者に話を聞くと、「浅野については全く悲観する必要はない」と語る。

「浅野のスイングスピードや打球は、高校卒の選手とは思えないほど速いですね。あれだけ強く、大きくバットを振れる選手は、(浅野と同世代の)大学生でもなかなかいません。さらに驚いたのは、体の強さですね。高校に入った時から身長が伸びておらず、成長が早かった。このため、高校時代にしっかりトレーニングを積んできたようで、体がちゃんと出来上がっています。プロの投手が投げるボールに対応するために苦労することは、誰もが通る道です。そのなかでも、浅井は徐々に成績を上げてきていますよね。チームの事情にも寄りますが、(プロの投手のボールに)慣れてくれば、意外に早く一軍から呼ばれる可能性も十分あり得るでしょう」(球団関係者)

“不動の主砲”となった岡本和真も、高校卒の1年目は二軍でわずか1本しかホームランを打っていない。それに対して、浅野は5月終了時点で、既に2本を放っている。さらに、チーム4位となる多くの打席数を経験している。これもプラス材料と言えそうだ。

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