巨人、世代交代が進まなかったチームに光が…“ドラ1” 浅野翔吾も「意外に早く一軍から呼ばれる」と球団関係者

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育成入団ながら、初登板で初勝利

 一方の投手でも、楽しみなルーキーが出てきている。花咲徳栄出身で、育成ドラフト1位ルーキーの松井颯だ。高校時代は、野村佑希(現・日本ハム)の控え投手。大学時代は、首都大学二部リーグの明星大でプレーしていた。着実に力をつけて、最終学年にはコンスタントに球速が150キロを超える投手に成長した。

 最終的に、松井は育成ドラフトでの指名となったが、ドラフト前には、筆者は、ある球団のスカウトから「松井颯と仲地礼亜、どっちがいいと思いますか」と評価を尋ねられた。仲地とは、当時、沖縄大で活躍していた右腕で、昨年のドラフトで中日から1位指名を受けている。そんな「ドラ1」と比較されるほど、松井が持つ能力の高さは、スカウト陣の間で大きな話題となっていた。

 松井は、二軍では開幕からローテーションの一角として安定した投球を見せる。5月14日に支配下登録されると、5月21日の中日戦では5回を被安打2、無失点の好投で、見事にプロ初勝利を飾った。育成ドラフトで入団したルーキーがプロ初先発、初登板で初勝利をあげるのは2018年の大竹耕太郎(当時・ソフトバンク)以来2人目で、セ・リーグでは初の快挙である。

 150キロを超えるスピードが取り上げられることが多いが、コーナーに投げ分ける制球力の高さが持ち味だ。また、スライダー、シンカーと逆方向に変化するボールを操れることも大きな武器になっている。好調をキープできれば、先発の一角に定着する可能性も高そうだ。

若手の力で巻き返しなるか

 サウスポーでは、プロ入り2年目となる、代木大和(明徳義塾出身)や石田隼都(東海大相模出身)、山田龍聖(JR東日本出身)が揃って成長を見せている。代木は、既に一軍でも中継ぎで10試合以上に登板している。また、故障で出遅れたものの、高校卒4年目の堀田賢慎(青森山田出身)、井上温大(前橋商出身)もここからの巻き返しに期待したい。

 今シーズン首位を快走する阪神も実績のあるベテラン頼みから上手く脱却し、この数年でかなりバランスの良いチームになった。ライバル球団に対抗するためにも、巨人は、ここで挙げた選手たちを一日でも早く、“不動の主力”へと引き上げることが重要となる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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