山川穂高「西武解雇」でも「ソフトバンク入り」の線が消えないワケ FA交渉の“公然の秘密”、現役続行に首の皮一枚

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山川はソフトバンクの自身への関心を把握?

 さらに元監督は言葉をつなぐ。

「ここまで大胆なものは珍しいにしても各球団、似たようなことをやってきたと思う。度が過ぎたタンパリング(事前交渉)は良くないが、FA移籍を活性化させるため、弾力運用することは現実的には仕方ないことではないか」

 FAになる選手に対し、事前に獲得の意思などを示すことはNPB関係者の間では、“公然の秘密”だった。

 話を戻すと、この元監督は、山川がFA宣言した場合、ソフトバンクが獲得に乗り出すことを察知していたのではないかと推察する。

「山川はどのような形かは分からないが、ソフトバンクの自身への関心を把握できていたのではないか。火のないところに煙は立たないからこそ、オールスターでは(選手同士の会話で)ソフトバンク入りが既定路線であるかのような話が出たとみられる。(昨オフに)西武が提示した4年の契約年数は山川の年齢を考えると妥当で、球団提示が渋いとは言えない。(いずれも当時29歳の)源田(壮亮)に5年契約、外崎(修汰)には4年契約を提示した。ただ、資金力が球界一と言われるソフトバンクが獲得に乗り出すとすれば、条件面で西武は太刀打ちできない。山川が単年にし、FA移籍できるよう準備を整えたことは腑に落ちる」

入団テストで育成契約、どん底から再出発も

 しかし今、昨オフから状況は一変した。山川はFA権取得どころか、選手復帰さえ不透明だ。あるセ・リーグ球団の編成担当は「今回の一件は山川の自己責任。ソフトバンク移籍の話は白紙に戻っているだろう」と分析する。

 ただ、同編成担当は、不起訴でも西武が来季契約を結ばなかった場合、昨オフに単年契約にして移籍に備えた経緯があるだけに、ソフトバンクが“仁義”として山川に現役続行へのチャンスを与える可能性が否定できないともいう。移籍が前提になく西武と4年契約していたなら、不起訴の場合、契約自体は保証されていた公算が大きいからだ。

「ソフトバンクは、例えば来春のキャンプなどで入団テストという形で救いの手を差し伸べ、合格前提のテスト後に育成契約を結ぶ。どん底から再出発することで世間の理解を得て、タイミングを見ながら支配下契約に切り替える。チャンスがもらえる山川はもちろん、本来なら巨額の資金が必要だった山川を格安で取れるため、ソフトバンクにもメリットがあるのではないか」

 3年ぶりの覇権奪回に燃えるソフトバンクは右打ちの大砲が不足している現状を打開しようと、昨季限りで退団したアルフレド・デスパイネを急きょ、出戻りさせた。来季も右打者である山川の長打力にはニーズが高そうだ。当初のFA移籍とは異なる形だが、山川はソフトバンク入りという“元サヤ”に収まっているかもしれない。

デイリー新潮編集部

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