暗号資産投資トラブルで「20億円」丸儲け ヤクザに追われ、米国で50万ドルを踏み倒し…笑顔が眩しい「日本人ギャンブラー」はどこへ消えた?

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 暗号資産を舞台にした詐欺まがいの投資トラブルが頻発している。インフルエンサーやセミナーを介して「いま出資すれば必ず儲かる」「いつでも出金できる」などと言葉巧みに勧誘。短期間でマルチ商法的に裾野を広げて出資金を集め、ある日突然ドロンするのだ。ヤクザにも追われたこの男はまずアメリカに渡った。そしてカジノに入り浸って放蕩三昧。再び金銭トラブルを起こして姿を消した。向かった先はーー。
 
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一晩で数千万円が動く「ハイレートポーカー」の常連だった

 アメリカ・ロサンゼルス郊外に構えるカジノのポーカールームで、昨秋、常連メンバーに加わったある日本人ギャンブラーが注目を集めた。一晩で数千万円も動くこともあるビッグゲームにも関わらず、男は堂々と本名を名乗ってカジノが生配信するYouTube番組にも度々出演。腕前もしっかりしていて、番組内では3カ月間で68万ドル(約9500万円)も稼いでいた。

 本稿では仮名にしてコースケと呼ぶ。YouTubeのアーカイブには、夜な夜なひりつく勝負を繰り広げるコースケの姿が数多く残されている。中でもアツい勝負となったのが切り抜き動画にもされた2022年9月2日の大一番――。

 いつもニコニコ笑ってプレイするコースケが、勝負の終盤で追い詰められていた。勝負に出た中国系アメリカ人が“オール・イン”。テーブルに積まれたチップは20万ドル(約2800万円)を超えた。アメリカ人の手札は「エース・エース」、一方のコースケは「エース・キング」。手札がすべて明かされている視聴者にはコースケの負けがわかっているが、答えを知らない彼は相手の“ブラフ”を疑って6分間も長考したのだ。

 結局、コースケは顔を歪めながらカードを投げ捨てた。そして、世界中のポーカープレイヤーから“引き際を心得ている”と称賛を浴びたのだった。

 だが、ある界隈の人たちは動画を見て怒りに震えていた。

被害者2万人、被害総額500億円

「彼は堂々と資産家ぶって高額ポーカーを楽しんでいますが、あのカネは私たちから騙し取ったお金です。彼は被害総額500億円と言われている暗号資産投資『PGA』でボロ儲けしたにも関わらず、被害者に向き合わずに逃げているのです」

 こう語るのは、被害者の会を組織し、コースケらを相手に集団訴訟を起こしている50代女性のAさんである。

 PGA(プランス・ゴールド・アービトラージ)は2020年春頃から流行し、わずか数カ月で出金が停止した暗号資産投資だ。同社が開発した「独自のアルゴリズムを使って24時間体制で複数の仮想通貨の売買を自動かつ瞬時に行い、高い利鞘を生み出す画期的なシステム」を用い、月利20%以上が見込めるという触れ込みだった。

 トップリーダーと呼ばれる上部の数人を頂点に「紹介すれば配当利率が上がる」とSNSやzoomなどで宣伝され、勧誘は枝葉が分かれるように下部に広げられた。一口10万円程度から始められる手軽さが被害を拡大し、被害者は約2万人、被害総額は500億円にのぼると言われている。

「出資者は『USDT』という暗号資産で入金しなければならず、多くは勧誘役から勧められた送金代行業者『CSR』を頼った。そのCSRの実質的代表者だったのがコースケです。CSRは、投資家から預かった現金をUSDTに換えてPGAに送金する際、手数料として10%を抜いていた。このスキームでコースケが手にした利益は約20億円とも言われています」(Aさん)

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