長男・翔太郎氏のせいだけではない…岸田首相は解散できないという重要な根拠「安倍元首相とは雲泥の差」

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消極的な支持

 岸田首相は衆院の早期解散を否定したが、一部のメディアは総選挙の可能性を取り沙汰する記事を配信している。いずれも電子版から見出しだけ紹介しよう。

◆日本株強気派が勢いづくもう一つの理由、早期の解散選挙観測くすぶる(ブルームバーグ:5月30日)

◆岸田翔太郎秘書官 退職金辞退へ 解散めぐる神経戦続く(テレ朝news:同)

◆岸田翔太郎氏更迭は「解散総選挙に向けた環境作り」 国民・玉木氏が指摘「選挙準備を加速化したい」(J-CASTニュース:同)

「ある自民党の幹部は『各社世論調査の“岸田内閣を支持する理由”を読むと、とてもではないが解散なんてできないと分かるよ』と断言していました。たとえ岸田首相に対する見かけの支持率は上がっていても、支持する理由は『他によい人がいない』という消極的なものが多いというのです」(同・ベテラン記者)

 本当なのか、実際に各社の世論調査を見てみよう。朝日新聞と毎日新聞は支持理由についての回答を掲載していない。そこで読売新聞、共同通信、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同調査の3つを対象とした。

安倍元首相との違い

 3月から5月までの調査結果を調べたが、まずは5月分からご覧いただこう。3月分と4月分は5月分と合わせ記事の末尾に掲載した。

【読売新聞】
◆5月22日朝刊掲載
支持:56% 不支持:33%
他によい人がいない:50%

【共同通信】
◆5月31日配信
支持:47・0% 不支持:35・9%
ほかに適当な人がいない:42・2%

【NHK】
◆5月15日配信
支持:46% 不支持:31%
他の内閣より良さそうだから:45%

【産経新聞・FNN合同調査】
◆5月29日配信
支持:50・4% 不支持:44・5%
他によい人がいないから:43・2%

 岸田首相を支持すると回答した人のうち、ほぼ半数が消極的な評価であることがはっきりと分かる。

 一方、安倍晋三元首相(1954〜2022)の場合、その国家観や政策を支持する「岩盤支持層」の存在が知られていた。

 そのためか当時の報道を調べてみると、産経・FNNなど「他によい人がいない」という項目がなかった世論調査もあった。

 2012年12月16日に行われた第46回衆議院議員総選挙で自民党は与党に返り咲き、安倍内閣がスタートした。28日の朝刊に掲載された読売新聞の世論調査では、安倍内閣の支持率は65%に達した。

 支持理由は「これまでの内閣よりよい」が41%だった。有権者が民主党政権に強い不満を抱いていたことも大きいだろうが、安倍内閣に期待し、積極的な評価を与えていたことが浮き彫りになる。

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