青柳晃洋に「第二の藤浪」を危惧する専門家の声 指揮官とソリが合わなければ退団…虎エースの“黒歴史”

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岡田監督「勝ち投手にならんで良かった」発言に賛否

 プロ野球阪神の青柳晃洋(29)は昨季、2年連続の最多勝に最優秀防御率、さらに最高勝率の3冠に輝いた。今季はプロ8年目で初の開幕投手を任されるなど、「岡田阪神」でもローテーションの中心に期待されたものの不振が続き、交流戦前に出場選手登録を抹消された。チームの先発陣では大竹耕太郎、村上頌樹ら新戦力が台頭。青柳抜きでもリーグ屈指の陣容を保っており、18年ぶりのリーグ制覇へひた走るチームで蚊帳の外になりかねない。

 過去、阪神で監督交代を機にスランプに陥った投手と言えば、藤浪晋太郎(アスレチックス)の名がいの一番に挙がる。この前例を念頭に、一部の現場関係者からは「第二の藤浪になりかねない」との声が相次いでいる。

 青柳は5月19日の広島戦(甲子園)の一回、いきなり大量5失点を喫した。7連勝で本拠地に戻ってきたチームの勢いに水を差すエースの背信。スポーツメディアによると、岡田彰布監督は「もうええわ、青柳の話は。毎回毎回、同じことを……」と定番の立ち上がりの乱調におかんむり。打線が五回までに7点を援護した展開に「勝ち投手なんやで(五回に青柳が2失点しなければ)7-5で。ならんで良かったよ」と吐き捨てたという

 青柳は翌20日、岡田監督の「普通に考えたらそうやんか」との言葉通り、2軍落ちした。

 期待が大きい分、失望も大きい。岡田監督は青柳に対し、数々の厳しい言葉を投げかけてきたが、さる元NPB球団監督は正負両面を指摘する。

「『勝ち投手にならなくて良かった』とは投手にとっては屈辱的な言葉。鉄拳指導が当たり前で、上下関係が絶対だった岡田監督の現役時代などでは珍しいことではなかったかもしれない。今の岡田監督にはエースに厳しく接することで、チームを引き締める狙いもあるとは思う。ただ、青柳はどう受け止めているか。プロでも厳しい指導に慣れていない選手が多くなっただけに、監督の言葉に見返してやると奮起するのではなく、萎縮する危険性は拭えない」

矢野前監督のお気に入り

 青柳は神奈川の県立高校(川崎工科高)出身で、甲子園出場もなかった。帝京大に進学し、2016年、阪神入りはドラフト5位だった。3年目まで1軍に定着できず19年、矢野燿大監督の就任とともに頭角を現した。

「前年まで2軍監督だった矢野監督とは波長が合っていた。矢野監督は助言を素直に聞き、愚直に努力する青柳がお気に入りだった。矢野監督の誕生と同時にローテーションに定着し、監督から受ける期待が昨年までの好成績(2年連続13勝)の一因だった」(チーム関係者)

 他者の期待に沿い、成果を出す心理効果は「ピグマリオン(教師期待)効果」と言われる。まさに青柳のケースが当てはまるようだ。

 かねて青柳は送球時に“イップス”の症状が出ていた。そこでワンバウンドで送球したり、近い距離であれば下手からトスしたりと克服に努めた。

「ワンバウンドで放るなどはプライドが許さない投手もいるが、青柳は違った。矢野監督はなりふり構わない姿に感動すらしていた」(同)

 一方で、このエピソードは青柳が投げることにメンタル面で課題を抱えていることの証左でもある。

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