まき割り用のおのでメッタ打ちにされた「片岡仁左衛門」一家… 血塗られた「梨園の暗黒事件史」

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まき割り用のおのでメッタ打ち

 さて、日本中を震撼させた最悪の事件が起こったのは、敗戦後まもない1946年。「十二代目片岡仁左衛門一家殺人事件」だ。

「仁左衛門、妻、息子、そして女中2人が殺されました」(演芸ジャーナリスト)

 犯人は、仁左衛門宅に住み込みで働いていた座付き見習い作家だった。

「被害者はまき割り用のおのでメッタ打ちにされていたことから、相当な怨恨によるものだと考えられました。当時、近隣住民の証言や犯人の供述によって報じられた動機は“食べ物の恨み”。配給のコメを十分に分けてもらえず、日頃のいびりも相まって憎しみが爆発したというものですが、遺族側は否定しています」(同)

 折しもGHQによる指示で、封建主義的な美徳をたたえる演目はご法度に。歌舞伎自体が存続の危機に瀕していた時代の出来事だ。

 花道の下に広がる暗黒の奈落。そこから猿之助は、あまたの謎についていかなる口上を述べるのだろうか。

週刊新潮 2023年6月1日号掲載

特集「殺人で逮捕!? 遺書に記された『最愛の人』とは!? 『猿之助』7つの謎」より

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