92日間のタイ、ラオス生活で気付いた、家の不要品の多さ 物置の99%のものは必要なし(中川淳一郎)

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 92日間タイとラオスに滞在していましたが、日本に戻りました。2月~3月中旬の猛烈に寒い日本にいないというのがとんでもなく快適ですね~。来年以降も寒い時期は1~3カ月はタイ・ラオス・カンボジアあたりに行ってもいいかな、と思いました。生活費はホテル料金を含めても日本よりタイは安いです。ラオス・カンボジアは圧倒的に安い。

 長期間家を空ける場合、どうすればいいのかについて、いろいろ分かったことを書いてみます。一番大事なのは、価値のあるものをそもそも買わないことです。何しろ泥棒が入ってそれらを失うのは最悪なので。

 幸いにも、わが家には価値のあるものは何一つありません。まだ使える古いPCに3万円ぐらいの価値がある程度でしょうか。だから仮に泥棒が入ったとしても盗むものがない。これは大きな心の安定につながります。

 今回、新型コロナの感染症法上の「5類」化と水際対策終了が自分にとって帰国の条件でしたが、それが5月8日には両方とも実現していたため、この日にしました。まぁ、タイのビザが7日までだったという事情もありますが。元々いつこの二つが現実のものになるか分からなかったため、片道切符にし、水道・ガス・電気・テレビ・新聞は止めました。

 そして、わが家は湿気がすさまじいため、不在時にカビだらけになることを恐れ、窓を開けていったのですが、これが良かった! 2020年12月1日、この家に住み始めてから1週間後、クローゼットに入れていた洋服が軒並みカビだらけに。以来2年5カ月、一つの窓を開けっ放しにしているのですが、今回も窓を開けていくとまったくカビは生えなかったのです。これも、価値のあるものがない家だからこそできることです。

 しかし、落とし穴が一つありました。冷蔵庫です。当然電気は切れているわけですから、中に残していった調味料やら何やらの水分がたまり、冷蔵庫中がカビだらけに。急いでいたため、ミカンも三つ入れっぱなしにしていましたが、これが見事なエメラルドグリーンのカビ化していたのです。すべての容器がカビだらけになり、未開封の調味料を捨て、大量の塩素を使い掃除しました。電気を止める場合は、絶対に冷蔵庫は開けっ放しにすべきです。

 長期間家を空けてよく分かったのが、不用品があまりにも多いことです。現在2DKの家に住んでいるのですが、一つの部屋は完全に物置です。しかし、ここにあるものの99%はこの2年5カ月で一度も使っていなかった! 厳選した本を前回の引っ越しの際に箱詰めしたつもりだったのですが、これも結局読まなかった。今の時代、Kindleもありますので、この部屋のものは一旦すべて捨ててしまうことにします。

 旅に出ると、こうして日常生活で本当に必要なものが分かるわけです。あぁ、結局オレと家人の人生、リュックサック、ボストンバッグ、スーツケース、手提げかばんだけで事足りるんだな……と。これに調理器具と食器と家電があれば十分です。1DKの家に引っ越すことも現在検討中で、さらにカネを使わなくなりそうです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2023年5月25日号掲載

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