ファームで好調、中日・根尾昂投手はなぜ1軍に上がれないのか

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慢性筋肉痛になりながら猛練習

 その後の根尾は「野手」として、打撃センスを延ばしていく育成ビジョンに見えたが、

「ウラで投手の練習もやらされていたんです。まあ、だから、昨季、いきなり投手専念と言われても対応できたんですが」(前出・同)

 全体練習の終了後、投げ込みなどのノルマもこなしていたので、「慢性筋肉痛」だったという。

 投手と野手――エンゼルスの大谷翔平(28)とは異なるマイナスの二刀流をやらされてきたのだろう。

 とはいえ、立浪監督も投手転向を通達したのだから、根尾にその才能があると見たのだろう。投手出身の監督、歴代コーチが「打撃面を延ばしたほうが」と言い、バッター出身の立浪監督が「ピッチャーで!」と決めたのは不思議な感じがしないでもない。だが、根尾のプロ野球人生は内野と外野をたらい回しにされ、かつウラで投手の練習までさせられてきた。投手専念後も「リリーフか、先発か」で方向性が定まらず、二軍暮らしが続いてきた。

「立浪監督が根尾を昇格させないのは、先発投手に育て上げたいからです。それだったら、ファームでのリリーフ登板は矛盾します」(前出・同)

 根尾の性格と素質が裏目に出てしまったようだ。

 投手、内野、外野のどれをやらせても、才能があるから、そこそこのレベルでプレーができてしまう。性格もマジメだから、与えられた課題は全てこなし、早出・居残りの練習も率先してやってきた。70点の平均点は取れる。しかし、ベクトルが定まらないから90点以上は取れないというわけだ。

「昨年オフは鳥取県のスポーツジムや米シアトルのトレーニングセンターに行き、徹底的に体を鍛えていました。その練習熱心さはキャンプ、オープン戦も変わらず、シーズンが始まった今もファーム戦の始まる前と後の両方でしっかり練習しています。休みはまったく取っていないのでは」(前出・メディア関係者)

 ウエスタン・リーグの他球団スタッフに聞くと、「投げ方も投手らしくなってきた」と言う。中日は昨季の最優秀中継ぎ投手賞のロドリゲスを失っている。今のところ、残されたリリーフ陣が奮闘しているが、中継ぎ投手は多ければ多いほうが良い。ファームで好投する根尾を昇格させるのも一案だが、こんな指摘も聞かれた。

「このままチームが負け続ければ、『将来性』に切り替え、若手中心のメンバーでやっていくことになりそう。そのときは根尾も昇格させるはずです」(前出・関係者)

 根尾は昨年オフ、選手寮を退寮した。その際、「イヌが飼いたい」と言って、周囲を笑わせたそうだ。いや、ジョークではなかったのでは? 努力しても報われず、癒やされたいと思ったのではないだろうか。選手寮と同様、二軍のナゴヤ球場から一軍のバンテリンドームに引っ越す日はいつになるのか……。

デイリー新潮編集部

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