兄弟子による現役力士への暴力事件、部屋側が“口封じ”か「おかみさんが自分の母に電話していた」

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責任者への処分はなく…

 ざっと概要を振り返っておくと、暴力事件の被害者は三段目の安西(やすにし・21)で、加害者は同じく三段目で安西の兄弟子の霧の富士(28)。安西自身が本誌に証言したところによると、入門した直後から霧の富士の暴力、暴言、イジメが始まり、ミスをする度に「死ね」「殺すぞ」。エアガンで撃たれ、フライパンの裏でたたかれ、時には何十発も顔面を殴られることも。事態を把握したのに陸奥親方やおかみさんの動きが鈍いことに業を煮やした安西は自ら協会のコンプラ委員会に被害を報告するも、協会はそれを調査・公表することなく被害者の懐柔をもくろみ……。今月9日、本誌発売に先んじて「デイリー新潮」の速報記事がネット配信されると、NHKや各紙が「陸奥部屋で暴力被害の訴え」などとして相次いで事実関係を報道。にもかかわらず目下のところ、責任者たる陸奥親方に何ら処分が下されていないのは不可解という他ない。

「昨年12月、伊勢ヶ濱部屋で弟子2人の暴力事件が発覚した際、相撲協会の理事を辞任した伊勢ヶ濱親方には2階級降格の処分が下されました。それなのに今回、なぜ陸奥親方はおとがめなしなのか。協会執行部への不平不満は内部で相当渦巻いています。結局、陸奥親方は協会ナンバー2の事業部長で主流派だから処分されず、伊勢ヶ濱親方は反主流派だったから処分されたのだろう、と」(角界関係者)

“まだ不満か?”

 陸奥部屋内部でも妙な動きがあった。デイリー新潮の速報が配信された日、

「自分の母に、おかみさんが電話したようなのです」

 と、安西本人が言う。

「以前からおかみさんは、自分が暴力を受けていた件について“兄弟げんかで双方が悪い”と無理やり丸く収めようとしてきました。母への電話でも“ヒデ(霧の富士)がたたいたのは何回言っても(安西の)ミスが直らないから”と言っていたようです。とにかく、おかみさんはずっと霧の富士をかばってきたのです」

 母親を通じて安西の口を封じようとしたのであれば、「圧力電話」と言われても仕方あるまい。実際、速報が配信された後に安西と話したという母親によると、

「凛(安西)には、部屋を辞める覚悟だったら、マスコミに話をするのもいいかもしれんけど、まだ続けたいなら、話し合ってきちんと終わらせんといかんよ、と言いました」

 これで安西が矛を納める気になったとしたら、おかみさんの思うつぼ。しかし、

「新潮さんの記事が出た後、陸奥部屋ではおかみさんを除き、裏方も含めた全員が集められて話し合いが持たれたそうです」

 と、相撲協会関係者。

「親方は“丸く収めるために時間がかかった”といった趣旨の話をした後、安西に“まだ不満か?”と聞いた。すると、“はい”という答えで、さらに親方が“じゃあ俺が処分されたらいいってことか?”と聞くと、これまた安西は“はい”と言ったそうです」

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