戦車も弾薬も軍服も全部足りない…次々明らかになるロシア軍の惨状を見て今ウクライナ軍が考えていること

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鍵を握るバフムト

 ウクライナ軍は充分な戦力を維持しており、ロシア軍は弱体化し、疲弊している。となれば、ウクライナ軍が一気に反転攻勢に出るのではないかと思ってしまうが、そう簡単にはいかないという。

「ウクライナ軍は絶対に失敗が許されず、これだけでも相当なプレッシャーです。NATOから供与された戦車の運用は始まりましたが、ロシアの核リスクが存在することもあり、欧米諸国は航空支援には消極的な姿勢を示してきました。広島サミットでアメリカのバイデン大統領はF−16の供与を容認する考えを明らかにしましたが、パイロットの養成には時間がかかります。戦闘機や攻撃機の援護がなければ、いくら高性能のレオパルト2とはいえ、ロシア軍の反撃に手を焼くはずです。虎の子の戦車を失ってしまえば、反攻どころの騒ぎではありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 やはり鍵を握るのは東部戦線の戦況だという。

「ロシアはバフムト陥落を宣伝しました。ウクライナ側は認めたのか認めていないのか、やや混乱気味ですが、今後もウクライナ軍が東部戦線で猛攻を仕掛ける可能性は高いでしょう。ロシア軍を追い出すという目的は変わっていないはずです。攻撃をかけながら、敵軍の戦力を見定めるに違いありません。何しろロシア軍は、動員兵の場合は新兵教育すら放棄し、残った精鋭部隊の弾よけとして使っています。ワグネルやロシア正規軍がどれほど弱体化しているのか、戦況から分析するのです」(同・軍事ジャーナリスト)

もう一つのプレッシャー

 ウクライナの長い冬は終わり、首都キーウの気温は東京とそれほど変わらない。大地の泥濘(でいねい)も固まり、軍事車両は自由自在に移動できる。

「ウクライナ軍の倉庫は、NATOから供与された様々な兵器で埋め尽くされているでしょう。“敗北は許されない”というプレッシャーだけでなく、“必ず反攻に転じ、勝利を収めなければならない”という圧力も厳しいものがあるはずです。ウクライナ軍の上層部はいつか反攻作戦の決断を下すのでしょうが、その前に東部戦線で相当の戦果を収めないと、反攻開始の決断を下すのは難しいのではないでしょうか」(同・軍事ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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