妻から「いいわよ知ってるから」と言われ…その瞬間、40歳夫が「不倫を続けているのがバカみたいだと思った」理由

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「別に気にしないから」

 コロナ禍になっても真智子さんとの関係は密かに続いていた。ひとり暮らしの彼女の部屋を訪れることも増えた。真智子さんは料理上手で、手早くおいしいものを作ってくれる。

「妻はほとんど料理をしませんでしたから、真智子の手料理はうれしかった。初めて本気で離婚を考えました。真智子との間に子どもがいたら楽しいだろうなとも考えた」

 昨年の大晦日、遠方の実家に帰った真智子さんとLINEのやりとりをしてからリビングに戻ると、茉利さんがごく普通の口調で「真智子、元気だった?」と口にした。

「いいわよ、知ってるからと茉利が言うんです。『真智子は私には逆らえないの。真智子が相手なら別に気にしないから、続けていいのよ』って。段差もないリビングで躓きました。いきなり足に力が入らなくなった感じだった。結局、真智子は茉利に使われていただけだったのか、あるいは怪しいと睨んだ茉利が白状させたのか」

 いずれにしてもバレていたわけだ。しかも妻は怒っていない。これが勇弥さんには怖くてたまらなかった。

「開き直って、妻公認だと思えばいいのかもしれませんが、僕は開き直れなかった。むしろ妻が知っている不倫を続けるなんてバカみたいだと萎えてしまいました」

 今年に入ってから、彼は本気で離婚を考えるようになった。「めんどうだから実現するための行動にはまだ出ていない」が、何かきっかけがあれば別れる方向に一気に進むだろうと勇弥さんは淡々と言った。四十にして、やっと自分の足で立ち、自分の意志で生きていこうとしているのかもしれないとも付け足した。

前編【40歳夫が「妻公認の不倫」をするまで はじまりは上司から命じられた奇妙な仕事だった】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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