妊婦、赤ん坊も容赦なく処刑…北朝鮮の残虐行為に向きあおうとしない韓国「左派政治家」の呆れた言動

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 韓国政府が発表した「北朝鮮人権報告書」が韓国国内で波紋を呼んでいる。

 これは、2017~2022年に北朝鮮脱北者508人から聞き取った証言を元に作成したもので、北朝鮮内の「人権蹂躙行為」の詳細がまとめられている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、この報告書によって北朝鮮の反人権的行為を世界に告発し、韓国とアメリカ、日本が北朝鮮の脅威に立ち向かう結束力を固める契機にしようと述べた。一方、かねてより北朝鮮の人権蹂躙に対して沈黙していた韓国の左翼野党は、報告書の正確性に疑問を提起している。

 韓国統一部が3月30日に発刊した「2023北朝鮮人権報告書」には、信じられないほどの北朝鮮の惨状が盛り込まれている。

 証言に基づくその一部を紹介すると──。

・2020年以降、新型コロナウイルスの流行を受け北朝鮮政府は「国境封鎖地域に出入りする際、事前通知なしに射殺する」という方針に立った。実際に封鎖地域に出入りした住民を殺害した。

・北朝鮮は“問題のある妊娠”によって生まれた子供にも躊躇しなかった。2014年に脱北を試みるも失敗し、中国から強制送還された女性がいた。女性は妊娠していて、拘禁施設で出産。しかし赤ちゃんを「中国人の血が流れている子供」という理由で、生まれてすぐに看守が殺害した。

・2015年、元山市の16~17歳の青少年6人が、韓国ドラマを視聴しながらアヘンを服用したという理由で死刑を宣告され、直ちに銃殺された。

・2017年、家で踊りながら壁にかかっていた金日成(キム・イルソン/金正恩の祖父)の肖像画を指さしている様子を映像に撮られた女性は、この映像が密告されたため、妊娠6カ月であるにもかかわらず公開処刑された(この件は当時、韓国メディアでも集中的に紹介された)。

・金正恩以外を崇拝してはならないという理由から北朝鮮では宗教はタブー。2019年には平壌市で地下教会を運営した疑いで関係者5人が公開処刑され、残りは収容所に送られた。

・売春は許されず、2017年には黄海北道沙里院市で女性7人が売春行為をしたという理由で銃殺された。

 報告書では、収容所の実態も赤裸々に紹介されている。政治犯・脱北者・思想犯などを閉じ込めている収容所は全国11カ所に達している。収容者は家畜にも劣る扱いを受け、強制労働に苦しめられ、ほとんどが飢え死にしているという証言もある。韓国内では「まるでナチスのアウシュビッツ強制収容所のようだ」という反応が広がった。その他にも、障害者に対する強制生体実験と拷問、人身売買など、数多くの人権蹂躙があったと報告書にはある。

文在寅政権下では非公開に

「北朝鮮人権報告書」は、朴槿恵(パク・クネ)政権下の2016年3月に「北朝鮮人権法」が制定されたのを受け、北朝鮮人権財団設立を推進する過程で初めて発刊された。

 ところが2017年文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任して以降の5年間は、北朝鮮人権財団の発足は先送りされ、この報告書も「3級シークレット資料」に分類。長らく国民に公開されなかった。しかし統一部は2017年から2022年まで脱北者の証言を聴取し、資料を集めてきていた。尹錫悦が大統領になり、ようやく封印が解かれたというわけである。

 文在寅政権下でも、拉致被害者団体と現在の与党である保守党は報告書の公開を強く要求してきた。ところが、2021年2月、当時の統一部長官で現「共に民主党」国会議員の李仁栄(イ・インヨン)氏は、外信記者クラブとの懇談会で、「なぜ北朝鮮人権報告書を公開しないのか」という質問に「報告書の記録が本当のものなのか、脱北民被害者の一方的な証言を確認し検証する手続きが足りなかった」と述べた。脱北者の証言を100%信頼できないという理由を明らかにしたわけだが、これに対し脱北民被害者団体は李氏を名誉毀損で告発するなどの手段に出た。文在寅政権関係者と「共に民主党」の報告書に対するこのような態度を、世論と保守党は強く非難していた。

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