日本の防空システムを毀損する上海電力の風力発電事業 見返り目当てで再エネ企業を応援する議員の名前は?

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カラクリを解説

 簡単にそのカラクリを解説する。19年7月3日、北海道在住の個人が所有する石狩市厚田区望来(もうらい)の土地に、「合同会社石狩市厚田区聚富(しっぷ)陸上発電所(東京都千代田区/業務執行社員・一般社団法人開発44号/職務執行者・亀田敬亨)」(以下、石狩市発電所)に対する地上権が設定された。期間は売電の開始日から20年間(FIT制度満了日)までだ。

 同年12月20日、石狩市発電所はこの土地を取得。さらに12月23日には、ここに地上権根抵当権設定の仮登記が行われた。極度額は後述する石狩郡当別町の不動産取得と合わせて27億8800万円。債務者は「合同会社開発44号(東京都千代田区/代表者・戸谷英之)」で、権利者は「SBIホールディングス株式会社(東京都港区/代表者・北尾吉孝)」の子会社の「株式会社SBI証券(東京都港区/代表者・高村正人)」とある。合同会社開発44号と同じ場所には、「一般社団法人開発44号」なる社団法人も登記されており、その監事は、亀田敬亨という先に登場した人物と同姓同名である。

基地からわずか3キロ

 空自当別分屯基地は北海道の中心部に広がる石狩平野を眼下に見渡す標高418メートルの阿蘇岩山にあり、麓には人口1万5千人の当別町、その先には196万人が住む道都・札幌市が広がる北の防空任務を担う重要拠点だ。上海電力日本がステルスで進める風力発電所は、その空自基地からわずか3キロしか離れていない。

 石狩市発電所は、ここに高さ160メートルの風車を8基設置する計画という。札幌市の大通公園にはランドマーク「さっぽろテレビ塔」がある。その高さは147メートルだから、いかに風車が大きいかが分かるだろう。同じ場所には「合同会社石狩郡当別町西当別陸上発電所(業務執行社員・一般社団法人開発44号/職務執行者・石川公大)」(以下、西当別発電所)も登記されている。西当別発電所は、高さ160メートルの風車を12基設置する計画だ。

 21年の4月と10月、石狩市発電所は2度にわたって住民向けの説明会を実施した。ところがここに石狩市発電所の職員は出席せず、代わりに農業生産法人・水杜(みもり)の郷株式会社(茨城県つくば市)の関係者の姿があった。上海電力日本はつくば市でメガソーラーを運営するSJソーラーつくばに資本金の7割を出資している。残り3割は水杜の郷の負担だ。上海電力日本と水杜の郷はともに合弁会社を経営する、ビジネスパートナーという間柄。当の事業者が姿を現さないことに、地元住民が不信を募らせたことは言うまでもない。

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