銀座強盗、“ドアを閉めて話題になったバーのママ”が証言 「殺されたら困るなと思いました」

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「”殺されたら困るな”と思った」

 続けてこう言う。

「彼らは腕時計を鞄に入れながら“まだいける、まだいける”なんて言ってました。声は若くて、はしゃいでいるふうにしか聞こえませんでした。もしその会話が中国語だったなら“もしかしたら銃器なんかを持っていて危険かもしれない”と思ったかもしれませんが、正直、そこまで危ない雰囲気は感じなかった」

 ドアを押さえる彼女の向こう側に、店を出ようとして1人が迫り、ガラス板1枚を挟んで両者は対峙する形に。その際、彼女はある言葉をぶつけられた。

「ぶっ殺すぞって……。店(の仕事)があるから殺されたら困るな、と思いました。それに、そのままドアを挟んで押し合いをしても、力では負けてしまうなって。最後はドアから手を離さざるを得ませんでした」

 一味は銀座中央通りに駐めてあった白のトヨタ・アルファードに乗り込み、その場を走り去った。

事情を聞く間もなくベランダへ

 事件発生から9分後、永田町付近で警察の網に逃走車両が捕捉され、パトカー1台が追尾を開始するも、

「実は一度、赤坂付近で逃走車両を見失ってしまっています」(捜査関係者)

 だが幸い、近くの袋小路で乗り捨てられた車両を警察官が発見。その先のマンションの敷地内で彼らの身柄は確保された。

 もっとも、一人は往生際が悪かった。9階建てマンションの6階部分のベランダに逃れ、そのヘリから5階部分のヘリに移り、追っ手をかわそうとあがいた。

 逃走犯を目撃した住人によると、

「犯人がどうやって6階のベランダまで侵入したのか分からないのですが、サイレンが騒がしいなと思って窓の外を眺めてたら、自分のうちのベランダのヘリを伝い、黒ずくめの男が隣の部屋のベランダに通り過ぎるのが目に入りました」

 ヘリの幅は約15センチ。転落すればタダでは済まない。

「危ないマネをするなぁと思った矢先、部屋のインターフォンが鳴った。扉を開けると、警官2名が息を切らして立っていて、“すいません、ちょっとベランダ使わせてください”って。こちらが事情を質す間もなく、ベランダのほうへ彼らは駆け出して行きました」
 5階部分でヘリの隅に追い詰められた犯人は「お前(警官)の目の前で死ぬんだから!」などとわめいてみせたが万事休す。警察官に「飛び降りるこたぁないだろ」と説得され、その場で取り押さえられたのだ。

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