家庭も心身も不調の52歳夫がジムのトレーナーと不倫を始めて“大自信”に…唯一の気がかりは彼女の部屋で知った驚愕の事実

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前編【没交渉だった兄の死を知った妻は激しく動揺…更年期障害で苦しむアラフィフ夫が抱いた疑念に彼女が見せた反応は】からのつづき

 作倉雅和さん(52歳・仮名=以下同)は、兄が婚約破棄した相手の珠希さんと結婚し、娘と息子に恵まれた。平凡だが幸せな家庭を築いていたが、音信不通だった兄の訃報をきっかけに、妻と兄は密かにヨリをもどしていたのではと疑う。問い質したことで夫婦関係はぎくしゃくし、かねてより悩んでいた男性更年期の症状もさらに悪化してしまう。

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 それ以来、夫婦の間には見えない壁ができたようだったと雅和さんは言う。彼は心から妻を信頼できなくなっていたし、疑われた珠希さんは些細なことでイライラしているように見えた。

「妻は娘ともうまくいっていなかった。就職活動でナーバスになっている娘の神経を逆なでするようなことを言ったり、遅く帰ってきた娘に『妙な男に騙されてるんじゃないでしょうね』と決めつけるようなことを言ったり。娘は『お母さん、更年期じゃないの? それとも娘の若さに嫉妬してるだけ?』と辛辣な言葉を投げていましたね。女同士、怖いなあと息子は傍観者でしたが、そのとき僕はハッとしたんです。週刊誌で男の更年期についても読んだことがあったから、あ、オレもそうなのかも、と」

 会社の近くに男性更年期を扱うクリニックの広告を見つけ、迷わず飛び込んでみた。男性ホルモンの検査等をしてみると、やはり更年期ですねと医師は言った。恥ずべきことじゃない、長年がんばってきた証のようなものだと言われ、彼は思わず涙ぐんでしまったという。

「そうか、僕は誰かに認めてほしかったのかと気づきました。男性ホルモン補充療法など、いろいろな対処法を聞いたんですが、更年期であるとわかっただけで少し気が楽になりました。医師と相談したんですが、この医師が僕と同世代でおもしろい人。『仕事も人生も適当でいいんですよ。何か楽しいことを見つけるといいかもしれない。あとは筋トレとか。筋肉を増やすと男性ホルモンも増えるんです。今回は、漢方でも飲んでみますか』って。その日の仕事帰りに、自宅から2駅離れたスポーツジムに行って契約しました。筋トレという言葉に反応してしまって」

新しい習慣で新しい感情が…

 トレーナーについて筋トレを始めた。無心に機械を動かすうち、彼の心はしんと静まるようになっていった。

「何度か行くようになって、続けられるとわかった段階で、妻に筋トレを始めたことを言いました。『僕も更年期だった。きみも検査に行ったほうがいいよ』と言ったんですが、妻は僕のことを心配するそぶりも見せず、『私は更年期じゃないわ。あなたに疑われたことのPTSDよ』って。自分の傷は主張するのに僕の傷には思いも馳せない。なんだかなあと思いましたが、それ以上は話をしなかった。いや、する気になれなかった」

 自分の心の平安のために彼は筋トレを続けた。ある日、せっせとトレーニングをしていると、『もう少しだけお尻を引いたほうがいいですよ』と声をかけられた。顔を上げると若い女性が立っていた。

「トレーナーだったんです。筋トレ担当のトレーナーに女性がいるとは知らなかったと思わず言うと、『今どきは珍しくないですよ』って。彼女の教え方、とても上手なんです。それまでうまく使えなかった機械もコツを教えてもらうと、効率よく鍛えられている感じがしました」

 以来、彼女に教えてほしくて週に数回は必ず通うようにした。他の会員にも丁寧に教えている彼女を見ると、ふつふつと嫉妬心がわき起こる。自分にもまだそんな気持ちがあったんだと彼は興味深く感じていた。

「そのときふと思ったんですよね。新しいことを始めてみると、新しい感情がわき起こるものなんだなと。そういえば兄にフラれた珠希に会っていたとき、僕には同情以外に嫉妬もあったんだろうかと考えたりしました」

 もちろん、トレーナーに恋をするなどとは妄想でさえ考えたことはなかった。だがそういうことが起こるのが人生のおもしろいところだ。

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