日ハム「エスコンフィールド北海道」不人気のなぜ 専門家は「今はドブ板選挙をやるしかない」

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新駅のメドは立たず

 アクセスの問題に関しては、当初の計画ではJR北海道が球場近くに新駅を作る予定だった。しかしながら、なかなか前に進んでいないようだ。担当記者が言う。

「JR北海道の綿貫泰之社長は3月15日の会見で、新駅計画の見直しを明らかにしました。当初想定された事業費は80〜90億円でしたが、資材費や人件費の上昇で115〜125億円に膨らむことが判明したそうです。建設費は北広島市が負担するため、予算の増額は計画の停滞を招くかもしれません。JR北海道は新駅の場所をずらすことも検討しています。いずれにしても、着工から完成まで数年はかかると言われていました。新駅の営業開始はさらに長引きそうです」

 東京大学から投手として千葉ロッテマリーンズに入団し、福岡ソフトバンクホークスの取締役も務めた、桜美林大学教授(スポーツマネジメント)の小林至氏に話を訊いた。

「新駅の問題を含めても、現状は日ハムにとって全くの想定外ではなかったと思います。エスコンフィールドの魅力だけで観客が詰めかければ、球団にとっては理想的な展開でした。とはいえ、さすがにそれは無理だったということでしょう。現場は、それなりのショックを受けていると思います。しかしながら、まだまだ挽回できるとも考えているはずです」

ダイエーの努力

 小林氏は「今の日ハムの球団経営を選挙に喩えると分かりやすいでしょう」と言う。

「候補者が高い知名度を誇る場合、いわゆる“空中戦”だけで圧勝するケースがあります。エスコンフィールドに当てはめれば、球場の魅力だけで観客が詰めかけ、特段のマーケティング活動をしなくとも満員御礼になった場合です。しかし、空中戦での圧勝は現実のものとはなりませんでした。ならば、これからはドブ板選挙に切り替えるしかありません。営業が必死に努力し、チケットを1枚でも多く売るのです」

 セオリーとしてまず開拓したいのは団体客だ。北海道各地から貸し切りバスで訪れる観客を増やしたい。どうせ空席が目立つのなら、道内の小中学校に無料チケットを配るのも手だ。未来の観客を増やすための投資だと考えれば合理的だろう。

「日ハムの参考になるのはソフトバンクです。コロナ前の2022年2月期決算で、ソフトバンクは12球団トップとなる324億9300万円の売上高を計上しました。球団の稼ぐ力が伸びたのは、前身球団だったダイエーホークスの後期、資金難に陥ったのがきっかけになりました」(同・小林氏)

 親会社からの資金援助が細り、ダイエーの営業担当が死に物狂いでチケットを売りまくったという。

「当時のダイエーホークスはホテル(現・ヒルトン福岡シーホーク)も経営していましたが、レストランのシェフも年間予約シートを売ったのは今でも語り草です。そうした球団の営業努力が地元のファンに評価され、客足を伸ばすことに成功したのです」(同・小林氏)

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