懐かしき昭和喫茶の魅力 SNSで全国819軒を紹介した、マニアが挙げる「6つの名店」

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昭和に“取りつかれた”著者

 昭和の商店街をコンセプトにリニューアルした西武園ゆうえんちや、純喫茶のクリームソーダを撮影してSNSにアップすることなどが、少し前に話題となった。どうやら若い世代に受けているらしい。

 生まれたときから隙のないデジタルな世界にいる若者たちは、ホッと息をつく余地のあるアナログの不完全さに憧れを抱くのだろうか? アナログの一長一短を知る昭和世代も、時々あの時代が懐かしい、昭和にタイムトリップしたいと思うのだから無理はない。

『昭和喫茶に魅せられて、819軒 47都道府県104のお店から情緒の記録』(303BOOKS)を上梓した平山雄さんも、昭和に取りつかれた一人だ。

 平山氏は2011年より、昭和の面影が残る場所に足を運んだ記録をブログ「昭和スポット巡り」(https://showaspotmegri.cocolog-nifty.com/)で公開している。同著はそのなかの「純喫茶」のコーナーのみを単行本化したものだ。

 古物商である平山氏は1968年生まれ。自宅で再現した「昭和中期の暮らしぶり」を紹介するため、2011年にウェブサイト「昭和住宅資料館」を開設した。「昭和スポット巡り」はもともとそのサイトの1コーナーで、話題を呼んだことから2012年に単体のブログとして独立させた。

タイムスリップ感を味わいたいだけ

 平山氏のブログに掲載されたことで、客が増えた店もあるという。ただし、そうした“影響力”は、平山氏が目指すすべてではない。昭和喫茶の居心地の良さや名物料理、飲み物を紹介することでガイド的な役割を果たしたり、喫茶店ファンとコミュニティを築いたりするために始めたわけではなかった。

「そもそも僕は、昭和喫茶に限らず、タイムスリップ感を味わいたくて活動していて、喫茶店マニアなわけではありません」

 昭和の面影を求めて全国に足を運ぶ際は、国産のレトロカーに乗り、昭和の服に身を包み、昭和歌謡を聴くという徹底ぶりだ。

「純喫茶のガイド本と思われる方もいるようですが、これは昭和に建てられたこんな喫茶店があったということを“記録した”本です。掲載店には、既に閉店しているところも多いため、住所も掲載していません」

 単行本化にあたっては、掲載許諾を取り、1県につき、最低1店舗は掲載することを目標にした。だが、1軒も許可が下りず、埒が明かない県が出てきた。

「ブログに載せた全国の819軒のなかから、まず150軒を選び、許諾を取っていきました。でも、まさかの許可の下りない店が出てきた。電話に出てくれないとか、勧誘と間違えたとかで、話すら聞いてもらえない。1県につき最低1店舗の掲載が目標だったので、1軒も掲載許可をもらえなかった県には、直接交渉のために足を運びました。オーナーさんと会って話すとほぼ許可をいただけるんですけれど、許可をもらえなかった店はどこも遠方の県にあったんですよね」

 個人商店である喫茶店は、文化遺産などと異なり、オーナーの采配一つで影も形もなくなってしまう。そういう意味では貴重な資料といえる。

「喫茶店は他の業種と比べて、内装が古いまま残っていることが多いので、足を運ぶ回数が多くなるわけですが、本当は昭和がそのまま保存されているなら、食堂でも観光地でもいいんです」

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