結婚詐欺で捕まった「ニセ公安警察官」のお粗末過ぎる言動 被害女性に「協力者に情報提供料を払わねばならない。カネ貸してくれ」

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情報収集のために偽装結婚

 この話を聞いて勝丸氏は、ピンと来るものがあったという。

「外事警察官は、家族でも外事警察に所属していることを話してはいけないことになっています。これだけでニセモノだと確信しました」

 この他にも……。

「捜査の内容を彼女に話すなんて、警官だったら絶対に考えられません。捜査情報をバラしたら、情報の漏洩で国家公務員法違反になってしまいます」

 吉川は、女性の知人が海外でトラブルに巻き込まれた際、公安の捜査員を派遣してやると話していた。

「ところが、『私事で捜査員を動かしたことで懲罰を受けた。左遷され、銀行口座が凍結された』と言って女性に借金をしたそうです。警察官がクビになったわけでもないのに、銀行口座が凍結されることはありません」

 吉川は、身内の不幸や同僚への借金の返済を理由に彼女から借金を重ね、金額は約280万円にも膨らんだ。すると、追い討ちをかけるような出来事が起こった。

「昨年12月、彼女宛にSNSで吉川の妻と名乗る女性から連絡があり、子供もいると知らされました。びっくりした彼女は、大阪府警や弁護士に相談。そして、私の所にも連絡したというわけです。吉川に奥さんから連絡が来たことについて問い質すと、『妻の父親が大阪のコリアンタウンでタクシー運転手をしているので、父親から情報収集するために偽装結婚した』と説明したそうです。私は、情報収集するために偽装結婚して子供を持つようなことはしないと彼女に伝えました」

 勝丸氏は女性に吉川は間違いなくニセ警官だから、早く大阪府警に被害届を出すように勧めたという。

「吉川は、昨年10月に北海道警に国際テロ対策の海外派遣要員として行くと言っていたそうです。海外派遣要員は警察庁にしかおらず、有事の際に海外へ派遣されます。この説明も明らかな嘘です。また、吉川は制服の上にエプロンを着て料理している映像を彼女に送っていました。そんなバカなことをする警官はいないと彼女に伝えました」

 吉川がニセ警官だと確証を持った女性は、吉川の自宅に乗り込んだ。その直後、大阪府警に被害届を提出したという。府警は、女性が吉川に渡した280万円のうち、明らかに詐欺とみなした約190万円で立件したという。

「吉川は、外事警察のことは結構詳しかったので、公安警察のマニアだったのでしょう。彼は、海外の日本大使館で警備担当の外交官として勤務したことがあると女性に話していたそうですが、私も在外公館に勤務していました。ひょっとすると、私の著書を読んでいた可能性がありますね」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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