50億円以上を儲けた? Twitterバトルで話題になったテスラ日本人社外取締役

ビジネス

  • ブックマーク

Advertisement

 EV大手、テスラ社の社外取締役である水野弘道氏がツイッターに恫喝まがいの書き込みを行ったのは4月5日。元朝日新聞記者で、キヤノングローバル戦略研究所の峯村健司主任研究員の、こんなツイートにかみついたのだ。

〈今回の渡米でサンディエゴ=ロス間(190キロ)を試しにレンタカーのテスラEVで移動しました。満タンで出発して2度充電してぎりぎり。急速充電でも20分から30分はかかりました。充電場所を探すのも一苦労。ほとんどが数台の列ができていました(後略)〉

 これに対し、水野氏は、

〈190キロ走るくらいでなんで2回も充電する必要あるの???いったいどこのレンタカーか知らないけど、一番航続距離の短いテスラでも無充電で300キロくらいはしれるでしょ。キャノングローバル研究所ってこんな情報平気で流す人を主任研究員にしてて大丈夫なのかなあ。福井理事長(註・福井俊彦氏)に聞いてみよう〉

 と返信したのである。当の峯村氏によると、

「私がツイッターに書いたのは3月末に渡米した際の実体験です。レンタカーの書類も手元にある。水野さんとは面識がありませんが、圧力とも受け取れる文章には本当にビックリしました」

「東芝の大株主とひと悶着」

 が、水野氏がやってきたことを振り返れば驚くにはあたらない。同氏は3年前、日本の公的年金190兆円を運用するGPIFの最高投資責任者からテスラに転じ、一方で経産省参与という立場でもあった。そこで水野氏は菅義偉首相(当時)ら政府首脳に働きかけ、政府の脱炭素政策=EVシフトに多大な影響を与えたといわれる。

「他にも、水野氏は東芝の大株主とひと悶着を起こしたことがあります。経産省参与として東芝の第3位の株主であるハーバード大学基金に接触し、株主総会で議決権を行使しないよう圧力をかけたことが同社の第三者委員会で問題になったのです」(経済部の記者)

 良く言えば剛腕、悪く言えば政商まがいとの評も聞かれるのだが、さすがに言動が危なっかしいと思われたのか、5月の株主総会をもってテスラの役員を退くことになった。峯村氏とのバトルの翌日である。

 もちろん、辞めたからといって今後を心配する必要はない。

「米SECによると、2020年の5月、6月と合わせて水野氏は2万3446株のストックオプションを手に入れており、その後テスラ株は大暴騰。当然、持ち株の価値も膨れ上がり、現在価格ではざっと6506万ドル。購入コストを差し引いても日本円で約57億円の大金持ちのはずです」(同)

 それでもテスラにすれば安い買い物だったに違いない。水野氏が影響力を行使したとされる政府の「脱ガソリン」シフト。その受益者の筆頭格がテスラである。

週刊新潮 2023年4月20日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。