違法駐車、飲酒運転が当たり前! 外国大使館の「違反金踏み倒し」ワースト1位はどの国?

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「大幅に改善」と語る駐日大使

 そもそも外交特権とは、外交活動への不当な干渉を排除するために存在する。ウィーン条約も「個人に利益を与えることにあるのではない」とクギを刺している。しかし、これまで紹介してきた一部の外交官は、公務であれ私用であれ、お構いなしに日本国内で“無法ぶり”を披露しているのだ。

 斯(か)くも横行する外交官たちの違法行為。特に放置違反金踏み倒し問題について、我々が19年に取り組み始めてから、圧倒的「ワースト1位」のロシア大使館は、取材に対してダンマリを決め込んできた。

 しかし、昨年11月になって我々はロシアのガルージン駐日大使を直撃する機会を得た。場所は駐日大使離任を前にした記者会見場。彼は集まった報道陣の前で、“ウクライナ侵攻を巡るロシアの対応は正しい”と、プーチン大統領の代弁者のように従来の主張を繰り広げていた。

 挙手してもなかなか当てられなかったが、しつこく続けると会見終了間近になって番が回って来た。

 またとない機会なので、最初から直球質問を投げた。

「ロシアの外交官は駐車違反と踏み倒しが非常に多い。法律を守る意識が低いのか?」

 恐らく予想していなかった突然の質問に対し、ガルージン大使の返答はこうだった。

「随分前のことだ。あなたの認識は2~3年遅れている。その状況は数年前にあったかもしれないが大幅に改善した。我々は日本のルールに違反する者に対しては、とても厳しくしている」

 大使は“大幅に改善された”と繰り返した。

 確かに私たちの報道を受け、この数年、ロシアを含む各国による駐車違反自体の件数は大幅に減少している。とはいえ、これまでの違反について支払うべき違反金の踏み倒しは変わらず続いていることは把握済みである。

 そこで、「警察庁の最新データがある」と問いただすと、それまで冷静さを失うことのなかった大使は「私に答えてほしいのか、それとも議論がしたいのか」と、いらだちを見せながらわれわれをけん制してきた。

「ロシア人の気質は旧ソ連時代のまま」

 違反ランキングの上位常連だったハンガリーが踏み倒しをやめるなど、一部の国で改善の動きがみられるが、相変わらずロシアは外交特権を盾に違反金を支払うつもりはないようだ。

 そしてガルージン大使はこうも述べた。

「間違いをするのはロシア大使館だけではないはずだ」

 日本への留学経験もあり流暢(りゅうちょう)な日本語を操るなど、ロシア外務省屈指の“日本通”として知られるガルージン氏は、駐日大使を離任した後、現在は本国の外務次官となり、ウクライナ侵攻を巡る外交にも携わっている。

 一方、当のロシア国民は「踏み倒しワースト1位」であることをどう思っているのだろうか。来日30年になるロシア人女性は、

「国の代表者だから恥ずかしいと思う」

 と話した。

 また現地モスクワでも市民に聞くと、45歳の男性は、

「原因はロシアの汚職体質だ」

 別の若い男性も、

「ロシア人の気質は旧ソ連時代のままだ」

 などと話した。

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