違法駐車、飲酒運転が当たり前! 外国大使館の「違反金踏み倒し」ワースト1位はどの国?

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特権を悪用する国が

 2015年に公開された映画「HERO」では、大使館付近の路上で女性がはねられ死亡する交通事故が発生し、木村拓哉扮する検事が捜査を進めるも外交特権の壁に阻まれ暗礁に乗り上げた。

「外交特権」と聞くと映画やドラマの世界の話かと思うかもしれないが、冒頭で紹介したように、都会の公道など身近な場所で行使されているのが実情である。

 さらには特権を「悪用」する国があるのだから看過できない問題なのだ。

 むろん前述したように、外交官ナンバーの車であろうと駐車違反が見逃されることはない。違反のステッカーはしっかり貼られる。しかし外交特権で差が出るのはその先だ。

 私たちが駐車違反をして「放置違反金」を支払わないとどうなるのか。テレビの警察密着番組でもおなじみだが、「逃げ得は許さない」として、警察官が車のナンバーの登録先となっている自宅などにやって来る。それでも応じない車の使用者は、預貯金などを差し押さえられたり、車検拒否になったりする。

1年間で6千万円が踏み倒されたという試算

 では外交官はどうか。外交特権により違反金を支払わなくてもおとがめはないし、5年がたてば時効を迎える。つまりは「踏み倒し」が可能なのだ。

 外交官は、その国を代表して他国に派遣される、いわば顔である。「特権の悪用なんかしない」と期待したいが、実際はそうではない。その実態は、私たち取材班が当局への情報公開請求で入手した国別の「放置違反金・踏み倒し全リスト」(警察庁まとめ)で明らかとなった。

 外交特権を悪用し「放置違反金」を支払わずに時効を迎えた件数(最新の21年度)は、国内に大使館などを置く155カ国のうち85カ国で、計3900件にも上ったのだ。

 国内には外交官ナンバーは約2千台しかないので、件数が台数を上回っている。外交官は「踏み倒しまくっている」と言っても過言ではない。

 たとえば1件当たりの違反金を1万5千円とすると、1年間で総額約6千万円が踏み倒された計算だ。そしてリストを見ると、とある2カ国が飛び抜けて多いのである。

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