武田アナで注目の「DayDay.」に早くも訪れた試練

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ニュースを厚くやらずに観てもらえるのか

 それでも実際には午前中にニュースを観たい人は多いはず。ライフスタイルの多様化が進み、夕方や夜にニュースを観られない人も多いからだ。

 ライフアイデア発見バラエティと銘打たれたTBS「ラヴィット!」(月~金曜午前8時 ~9時55分)が、一定以上の視聴率を得られない大きな理由もニュースがないからに違いない。

 本来、やることがいくらでもある平日午前中から昼にかけて、わざわざテレビを観るからには、ニュースを知りたいという欲求が視聴者側にはあるはずだ。

 それは昼の番組の視聴率にも表れている。10日に放送されたテレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」2部(月~金曜午後0時~同1時)の視聴率は個人2.9%で世帯5.5%だった。ニュースが中心の番組である。昼の番組では視聴率トップだった。

 片や1月に始まったフジの昼のバラエティ「ぽかぽか」(月~金曜午前11時50分~午後1時50分)の同日の視聴率は個人0.7%、世帯1.3%。番組の完成度は高まっているのに、視聴率は浮上しない。

 もっとも、「DayDay.」の場合はニュースを手厚くやりたくても、やりにくい事情がある。午前8時からの競合2番組が先にやってしまうからだ。

 例えば2日に死去が明らかになった坂本龍一さんの訃報は3日の初日に特集したものの、既に「モーニングショー」と「めざまし8」がやり尽くしていた。両番組を観ている途中で「DayDay.」に乗り換えた視聴者は既視感をおぼえたことだろう。

 その分、「DayDay.」は生活情報に熱心。4日は「ご近所トラブル」、5日は「値上げラッシュ」、6日は「芸能人が自分の広告を出す理由」、7日は「マッチングアプリ婚」などを取り上げた。さらに10日は「片付ける方法」、11日は「節電術」、12日は「大人の学び直しについて」などを特集した。

武田アナを起用する意味が薄いのではないか

 もっとも、こういう内容になると、他局から上がってくる声は「どうして武田さんをNHKから獲ったの?」である。

 武田アナは県立熊本高から筑波大に進み、1990年にNHKに入局。2016年の第67回紅白歌合戦で総合司会を務めたものの、一貫して報道畑を歩んだ。

「NHKニュース7」「クローズアップ現代+(現「クローズアップ現代」)」など看板報道番組を担当してきた。ニュースを扱うプロフェショナルである。だから、ニュースを手厚く扱わない番組であるにもかかわらず、MCに据えたことに対し、他局のテレビマンは首を捻るのだ。

「DayDay」には武田アナが大きなニュース、気になるトピックスを伝える「BUZZ NEWS」というコーナーもあるものの、ニュース番組におけるフラッシュニュース(主要ニュースや速報などを、まとめて短時間で伝える報道形式)に近い。競合2番組のような、独自のねちっこい取材はない。

 武田アナと山里の組み合わせにも違和感をおぼえる人もいるのではないか。考えてみると、武田アナはNHK時代、芸人と絡む番組をレギュラーで経験したことがないのだ。

 日テレは化学反応を期待したのかも知れないが、他局からはやはり疑問の声が上がっている。「武田さんを生かすのは芸人と絡ませることなのだろうか」という意見である。

 もっとも、武田アナ本人は現状に満足しているという。9日に更新したインスタグラムにこう書いた。

「NHKをやめてこんなことをやりたかったの?とSNSに書かれることがあるけれど、そう!その通りだよ。これがやりたかったのですよ」(武田アナのインスタグラムより)

 やりたいことをやり、結果も出たら、それが一番良いが、「DayDay.」と武田アナの場合はどうなるのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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