そごう・西武の売却に反対する「おじさん社員とOB」の主張が共感を呼ばない理由

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

現場との乖離

「セブンはお金は出したけれど、経営はある程度任せていたようです。実際、直近まで経営トップもそごう・西武のプロパーが担ってきました。ところが、市場が縮小する百貨店業界にあって、有効な経営施策を打てずに、そごう・西武の業績は低迷しました。最盛期のそごうは28店舗、西武は32店舗ありましたが、現在は併せて10店舗にまで縮小しました。その間、借入金も増え、人を呼び込むための新たな経営施策も打ちにくくなり、集客も減るという悪循環に陥っていました。4月6日にセブンから発表された決算発表でも、そごう・西武は4期連続赤字となっています。」

 有効な経営施策が打ち出せなかったのはなぜなのか。

「就職・転職の口コミサイトを見ると、百貨店が輝かしかった時代を知るおじさん社員や経営陣に対し、一般従業員との考えに乖離があることがよくわかります。そこに根本的な原因があるのかもしれません」

《一層のリストラ断行、また中途入社者(販売員ではなく総合職で)を大量に入れ様々な価値観を取り入れた方がいい。バブル時代から百貨店一筋でやってきた者は価値観が凝り固まっており新しい発想が生まれにくい、また発想があっても行動まで結びつかないと感じていました》

《会社の利益がどこから出ているのかを考えない人が多いと感じる。全ての基本は売場であるはずなのに、その売場の利益を出す為に動ける人が少ない。またその動ける人に仕事が集中し、嫌気が差し辞めていくという流れがあります。/ベテランを引き続き雇うのであれば、若手に託すもの(人脈や考え方など)がある人を雇うべき。責任から逃れるベテランを見ながら実務に従事する若手は、やる気を削がれるばかり。/新しいことへの取り組みを提言しながらも、そこに従事するのはSNSも使わない50代以上。売場のことも知らないレジも打てない机上の空論で語る、現状を知らない人が新しいことを生み出せるのでしょうか?/若手を駒として使い倒しているだけでは、このまま廃れていくことは明白。若手を舐めすぎでは?そろそろ仕事の仕方を根本的に見直す必要があるかと思います。》

《現場を知らない方々が思いつきで下らないことを言い出さないで戴きたい。この忙しいのに全く無意味な作業が増えるだけだから。仕事に集中させてください。》

 なかなか辛辣である。

「今回の外資への売却に特に抵抗しているのは、若手や中堅社員から非難されている社歴の長いおじさん社員たちやOBたちと言われています。過去の栄光にすがるOBやおじさん社員らは、『ここはこうやらないといけない』などと小言は言うものの、それは今では通用しない。しかも現場にいる若い社員は時給制スタッフや契約社員が多いので、『そんなことを言われても』と思われるのがオチのようです」

 その結果、売却されることになった。

「4期連続で赤字が続き、借入金は約3000億円とも言われています。このような状況では、そもそも企業として存続が危ぶまれます。売却反対を法に訴えるより、スポンサーがいてくれるうちに、大胆に改革して成長投資ができるようになったほうが雇用維持や百貨店の存続にもプラスに働くと思うのですが」

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。