現代日本人に圧倒的に不足している栄養素とは? オススメの食品をハーバード大で栄養学を極めた医師が指南

ドクター新潮 ライフ

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「太る時間帯」とは

 まず、「空腹に勝る調味料はない」と言われますが、空腹の時間を作ることによって、サーチュインと呼ばれる長寿遺伝子が活発化することが分かっていますし、空腹の時間がないと、ホルモンの分泌バランスが崩れ、食べている割には満腹感が得られない状況を招いてしまいます。結果、食べ過ぎによる肥満につながる。

 そもそも、食べ過ぎは生物として極めて不自然な状態です。野生のライオンは、お腹が空(す)けば一所懸命に獲物を狙いにいきますが、腹が満たされれば、それ以上は食べようとしません。したがって、「太ったライオン」は存在しない。食べ過ぎ、太り過ぎがいかに生命体としておかしな状態か、自然の摂理に反しているか、改めてお分かりいただけると思います。

 次に、「日内変動」を意識した食べ方も大事になります。

 人間は24時間をいくつかに区切った一定のサイクルで、体の働きが変化します。これが日内変動です。そして、効率的な栄養摂取のための1日のリズムを、私はこう区切っています。

・午前4時~正午

 「排泄」の時間

・正午~午後8時

 「消化」の時間

・午後8時~午前4時

 「吸収」の時間

 なぜ、1日の始まりが排泄の時間帯なのか。

 電車の乗り降りでもそうですが、まずは降りる人が優先で、乗る人は後です。順番が逆だと、車内に人がたまって大混乱になってしまいます。

 これと同じように、人体にとっても「ため込む」ことは良くありません。老廃物が体の中にたまっている状況は、それだけで体にストレスとなっています。したがって、まずは排泄が大事なのです。呼吸で吐いてから吸うのと同じです。

昔の日本人は「抗加齢」を実践していた

 できれば起床後、まずは排泄を済ませてから軽い朝食を取り、消化の時間帯である昼の食事は充分な量を食べて、吸収、つまり「太る時間帯」である夜の食事は軽めがお勧めです。

 ここまで、内なる老化を防ぐ絶対食および食べ方について説明してきました。これに基づき、一つの理想的な食事メニューを考えてみます。

 主食であるご飯にみそ汁、そしておかずは納豆にアジの開きあるいはサケの切り身、ホウレンソウのおひたし。

 これだけで、炭水化物、発酵食品、不足しがちな前述の三つの栄養素、EPAなどが取れます。そして、何のことはない、これはかつて私たち日本人の食卓に当たり前のように並んでいた「一汁三菜」スタイルなのです。

 英語で「アンチエイジング」と言うと、どうしても欧米的な概念と思われがちですが、実は知らず知らずのうちに、昔の日本人は「抗加齢」を実践していたわけです。

満尾 正(みつおただし)
米国先端医療学会理事・医学博士。1957年生まれ。北海道大学医学部卒業。日本抗加齢医学会評議員、米国アンチエイジング学会認定医。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員などを経て、2002年にキレーション治療とアンチエイジングを専門とした日本初のクリニック、「満尾クリニック」を開設。『世界最新の医療データが示す最強の食事術』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』等の著書がある。

週刊新潮 2023年3月30日号掲載

特別読物「『ハーバード大』で『栄養学』を極めた医師が推奨 『内なる老化』を防ぐ『絶対食』」より

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