現代日本人に圧倒的に不足している栄養素とは? オススメの食品をハーバード大で栄養学を極めた医師が指南

ドクター新潮 ライフ

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ビタミンDとマグネシウム

 では、どうすればいいのか。やはり、「医学の全ての基盤」である栄養、つまり食生活を見直す必要があります。

 まずは、現代日本人が特に意識して摂取すべき三つの栄養素についてお話ししたいと思います。

 一つ目はビタミンDです。2007年に、世界的権威を誇る医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は、米ボストン大学のマイケル・ホーリック医師による「総説」として、〈現代人にはビタミンDが不足している〉という論文を掲載しました。総説は、解釈などに“揺れ”があった研究に関する最終結論のようなもの。つまり、「ビタミンD不足」は医学上の絶対的なファクトとして定着しているといえるのです。

 ビタミンDは、骨を強くし、免疫力を増強させ、脳神経を守り認知症を予防する等々のさまざまな働きを持つ「スーパー栄養素」といえますが、理想の血中ビタミンD濃度が「40~80(ng/mL)」であるのに対し、日本人の平均値は「24.5」と圧倒的に不足しています。

 二つ目はマグネシウム。「リラックス・ミネラル(緩めるミネラル)」とも呼ばれるマグネシウムは、全身の筋肉を柔らかくしてくれます。従って、不足すると「夜中に足がつる」といった現象を引き起こすのです。またある調査では、血中マグネシウム値が最も低いグループと最も高いグループを比べると、前者の心臓疾患リスクは後者の1.28倍との報告もあり、やはり現代日本人はマグネシウムが不足しがちであると指摘されています。

70代以降、亜鉛の血中濃度は激減

 三つ目は亜鉛です。亜鉛は免疫機能の維持や、性ホルモンの分泌維持といった働きをもつのに加え、摂取量が不足すると、イタイイタイ病の原因物質であるカドミウム、水俣病の原因物質である水銀といった有害金属が体内に蓄積しやすくなってしまいます。さらに亜鉛不足は、皮膚や髪の毛の健康悪化につながるため「見た目のアンチエイジング」も阻害しますし、性ホルモンの分泌異常による男性機能の低下にもつながります。

 しかし、成人男性で1日11ミリグラムの亜鉛摂取が推奨されていながら、60代の約4割がわずか7ミリグラムしか摂取していないとの報告があります。とりわけ、70代以降、亜鉛の血中濃度はガクンと下がることが、私のクリニックの調査で判明しています。

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