現代日本人に圧倒的に不足している栄養素とは? オススメの食品をハーバード大で栄養学を極めた医師が指南

ドクター新潮 ライフ

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研究の末に再発見した「日本食の素晴らしさ」

 1975年当時の日本食が、結局、一番栄養バランスに優れている――。

 どんな栄養素が重要か、食事で足りなければいかにしてサプリメントで補うか。そうした研究の果てに、昔の日本食のバランスの良さ、すなわちステーキなどの欧米の食にまだそれほど侵食されていなかった当時の日本食の素晴らしさに、改めて気付かされたのです。

 ご飯にみそ汁に納豆。おかずは、ちょっとした野菜にアジやイワシなどの青魚。当時の日本の食卓には、ハンバーガーやフライドチキンといった“しゃれた洋食”はまだ珍しく、質素ともいえる献立が主役でした。しかしこれは、栄養学的に見て実はとてもバランスが取れた食事だったのです。

 それを証明するような一つのデータがあります。沖縄県の平均寿命の順位に関する変遷です。かつて、沖縄県といえば長寿県の代表として知られていました。実際、1980年当時、沖縄県は男女ともに都道府県別平均寿命が1位でした。ところがその後は、男性を見てみると、5位、26位……と順位を落としていき、2020年には47都道府県中のなんと43位。女性も16位まで下がっています。

平均寿命の延び率は鈍化

 いろいろな原因が考えられるでしょうが、食生活の変化もその一つとして指摘されています。戦後、1972年まで沖縄県ではアメリカ統治時代が続き、食生活も肉食やハンバーガーといったアメリカ文化に染まっていきました。幼い頃、若い頃からアメリカの食文化の中で育ってきた人たちに、大きくなり年を重ねた今になってその影響が出て、平均寿命の順位の低下につながっているのではないかと見られるのです。

 平均寿命における懸念は、なにも沖縄県に限った話ではありません。人生100年時代といわれ、日本人の平均寿命は延び続けている印象がありますが、延び率は鈍化しています。

 事実、1950年から70年にかけては1年平均で0.42歳、日本人の平均寿命は延びていたものの、70年から90年にかけては0.33歳、90年から2010年にかけては0.18歳と上昇幅が鈍っています。2021年には、コロナ禍の影響もあったのでしょうが、男女ともに10年ぶりに平均寿命が前年を下回りました。

 男性81.47歳、女性87.57歳。これが最新の日本人の平均寿命ですが、もしかしたらこの辺りで頭打ちとなる可能性もあります。少なくとも、健康を意識した食生活を送っていない人たちには、人生100年時代が“自動的”に訪れることはないのではないかと私は危惧しています。

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