兵庫・コーンロウ問題で茂木健一郎氏は「クソみたいな教師」「恥を知れ」…筑波大教授が指摘する“問題の本質”とは

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ネット私刑

 その一方で太刀川氏は、コメント欄に《学校の校則を多様性の一般論で批判するのは、真に多様性を理解していない意見を述べられているように思います》と注意を促した。これはどのような意味なのだろうか?

「私が専門とする『災害精神医療』では、『被災者にどう寄り添うのか』が重要なテーマです。これは災害だけの問題ではなく、様々な事情でトラウマを抱えた全ての被害者にも当てはまる問題です。例えば、いじめの被害者を助けようと思っている人が、被害者に同情するあまり『いじめた奴は皆殺しだ』と発言したとしましょう。気持ちは分からなくもありませんが、問題解決にはつながりません」

 それどころか「他人をいじめた奴は殺しでもOK」という言説がSNSなどで拡散してしまうと、結局は「いじめに加担した人をいじめる」という状況が生まれてしまう。

 飲食店での迷惑行為を撮影し、その動画をネットにアップすれば、犯罪行為として処罰されるのは当然だろう。とはいえ、動画の投稿者に対する“ネット私刑”が許されるはずもない。

 毎日新聞の報道を巡る議論では、高校や教師を乱暴に“ひとまとめ”にし、SNSなどで罵詈雑言を浴びせるという動きも目立った。

「実際の教育現場では、校則を重視する先生もいれば、重視しない先生もいるはずです。校則が厳しい学校もあれば、生徒の自由を最大限に尊重する学校もあるでしょう。教師も様々な見解を持っているはずで、学校も様々な校風を持っている。こうした状況こそが多様性の実現であるはずです。にもかかわらず、『教師なんてみんなクズばかり』、『校則なんて絶対にいらない』という極論が流布している現状は、やはり問題があると言わざるを得ません」(同・太刀川氏)

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