投手で7戦全敗、監督では2戦全敗…“ハマの番長”三浦大輔は“開幕白星”があまりに遠すぎる

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開幕戦史上2度目のサヨナラ満塁弾

 3度目の開幕投手となった2004年4月2日のヤクルト戦も、三浦は投手のベバリンに先制ソロを浴びるなど、3発の被弾が災いし、1対3で敗れた。

 さらに翌05年4月1日の中日戦は、7敗中最長イニングを投げながら、好投すれども報われずの典型のような試合だった。8回まで中日打線を2安打無失点に抑えた三浦だったが、味方打線も川上憲伸の前に沈黙し、スコアボードに17個のゼロが並ぶ。

 9回裏、先頭の立浪和義に三塁打を許した三浦は、2者を敬遠し、腹を括って無死満塁でアレックスと勝負した。

 変化球をことごとくカットして粘るアレックスに対し、三浦も10球目にこの日最速の144キロをマークするなど、気迫でぶつかっていったが、フルカウントからの13球目、直球が甘く入るところを左中間席に運ばれた。

 1994年の西武・伊東勤以来、開幕戦史上2度目のサヨナラ満塁弾という幕切れに、自主トレ初日からこの日の勝利を目指してきた三浦は「悔しい。気持ちじゃ絶対負けたくなかった」と目を真っ赤にした。

 3年連続5度目の開幕投手になった2006年3月31日の巨人戦では、「今年こそ」の気持ちが空回りする。立ち上がりから制球に苦しむ三浦は、初回に4安打と2四球で4点を失うと、3回にも高橋由伸に2ランを浴び、屈辱の4回6失点KO。「このままでは終われない。やり返さないと気が済まない」とリベンジを誓った。

開幕2、3戦目では通算6戦全勝だが…

 だが、「開幕の悔しさは、開幕で勝たないと晴らせない」と執念を燃やし、4年連続開幕投手になった翌07年3月30日の巨人戦も、勝利が手からスルリと抜けていった。

 プレーボール直後、前年もやられた高橋にセ・リーグ史上初の初回先頭打者初球ホームランを献上してしまう。だが、その裏、鈴木尚典のタイムリーで追いつき、3回にも吉村裕基が勝ち越し打と、味方打線も効果的に援護する。

 ところが、4回に李承燁、ゴンザレスに連続被弾し、2対3の逆転負け……。開幕投手の6連敗は、東尾修と並ぶ史上最多記録で、白星なしの6連敗は史上初だった。

 そして2009年、FA宣言しながら最終的に横浜残留を決めた三浦は「本当にいろいろあったから、しっかりやりたい」と心機一転、4月3日の中日戦で7度目の開幕戦のマウンドに上がった。
 
 だが、球が高く浮くところを狙われ、被弾4発の7回4失点で負け投手に。「調子は悪くなかったが、全部失投を打たれた」と悔いを残した。

 その後は2010年に調整不足で開幕投手を回避するなど、登板運にも恵まれず、この09年が最後の開幕投手になった。

 7連敗という結果は、02年からの10年間で最下位8度というチームの暗黒期に重なったことも一因だが、その一方で、三浦は開幕2、3戦目では通算6戦全勝と好対照の成績も残している。開幕戦も何かひとつきっかけがあれば、逆の目が出ていたように思えてならない。

 DeNA監督就任後も、一昨年、昨年と2年連続開幕戦黒星と、現役時代同様、相性の悪さが続いている三浦監督だが、今季は3度目(現役時代を含めると10度目)の正直なるかが注目される。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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