「3月31日に衆議院を解散して大勝」…岸田総理も巻き込んだ“怪文書”騒動のてん末

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<“死んだふり解散”の二番煎じ>

 さて、先の“怪文書”は次のように続く。

<政治的には、かつて中曽根康弘がやった“死んだふり解散”の二番煎じだが、もともと公明党が嫌がる統一地方選から3ヶ月以内の「6月22日(会期末)解散、7月16日(海の日の三連休の中日)投票」の選挙を仕掛けるつもりだった岸田首相には、このところの支持率の上げ基調は、好機と映っているようだ。解散を前倒しした方が野党の準備は整わない>

<連立を組む公明党にも一切知らせず、おそらく官房長官もまだ知らない。今月から、宮内庁に連絡して陛下の日程調整にあたる役割が、従来の官房長官窓口から官房長官と官房副長官の輪番制になり、今月は木原誠二が岸田首相の意向を聞いて陛下の日程を押さえている。もっと早く気づくべきだった>

 内容の真偽はともかく、28日の予算成立後、国会内で挨拶を交わした岸田総理に対し、公明党の山口那津男代表は「いよいよ統一選ですからね、解散じゃありませんね?」とクギを刺した。これに岸田総理は「いやぁ……、統一地方選です」と返している。

 政治部記者はこう話す。

「“怪文書”の出元は分からないが、観測気球としては一定の効果があったかもしれません。統一地方選を重視する公明党としても気がかりだったのは間違いない。ただ、解散は総理大臣にとって“伝家の宝刀”とはいえ、ここで解散すれば、岸田総理が推し進める防衛力強化や少子化対策なども棚上げになってしまう。さらに、1年半で3回目の国政選挙となると、さすがに国民からも理解されないと思います」

SNS時代の“怪文書”騒動

 29日の国会では、立憲民主党の議員から改めて解散の意思を問われた岸田総理が、「いま衆議院の解散は考えておりません」「先送りできない課題にしっかりと向き合い、説明責任を果たしていく」と語った。

 無論、解散を巡る岸田総理の本心は知る由もないが、永田町内に渦巻く疑心暗鬼が、今回の“怪文書”騒動に繋がったのは事実だろう。

 これまで、永田町で怪文書といえば、記者クラブや議員会館に投函・郵送されたり、FAXが届くのが常だった。ところが、今回はメールやSNS、LINEなどを介して短期間に拡散された印象が強いという。政治部記者によれば、

「3月28日頃から、色々な人が同じような文面をLINEやメールで次々に転送してきたんです。たしかにいまの時代、“紙”でばら撒くよりもはるかに効果的でしょうね。ここ1ヵ月ほど、永田町で“4月解散説”が浮きつ沈みつしてきたのは事実。そして、誰もが“まさか”と思いながら、“もしや”とわずかな可能性を否定できなかった。そうした疑心暗鬼な状況も相まって、この文面が一気に広まったというわけです。まさにSNS時代らしい“怪文書”騒動だと思います」

デイリー新潮編集部

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