ソフトバンク、球界初「4軍制」が本格始動 「第2の千賀」を生む土壌へ…“二刀流”に挑戦する選手も登場

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育成からの成功例は多々

 ソフトバンクの「4軍制」が、本格的にスタートを切った。

 開幕直前の陣容(3月25日現在)は、支配下選手67人、育成選手54人の計121人態勢で、12球団トップの選手数になる。ちなみに、12球団で支配下、育成を合わせた選手数が最も少ないのは阪神の73人(支配下68人、育成5人)。ソフトバンクは、それこそ阪神よりもほぼ1チーム分、選手を多く抱えている計算になる。

 2011年から「3軍制」による育成に注力、育成選手から初のメジャーリーガーとなったメッツの千賀滉大をはじめ、その強肩と巧みなフレーミング技術で、6年連続でのゴールデングラブ賞を獲得した甲斐拓也、内外野をこなせるユーティリティープレーヤーの牧原大成、13試合連続盗塁の世界記録を達成した2020年には盗塁王を獲得した周東佑京ら、育成入団で3軍から育て上げた“成功例”は多々。この「育成重視」の方針をさらに推し進めていこうというのが「4軍制」へと拡大する狙いでもある。

 三笠杉彦GMは、2軍、3軍、4軍の“位置づけ”を、以下のように説明している。

【2軍】1軍へのチャレンジと調整を行う選手が中心。
【3軍】2年目以降の育成選手が中心。実戦機会を数多く経験することで、さらなる成長を促していく。
【4軍】体作りを重視しながら、試合経験を積ませていく。

 メジャーだと、トップチームのメジャー傘下に、3A、2A、1A、ルーキーと4つのカテゴリーがあり、1Aはレベルに応じてさらに2つ、ルーキーも2~3チームに分かれており、実質は「7軍制」ともいわれるほど、育成の層が細分化されている。

プロアマ交流戦の「薩摩おいどんカップ」

「まだまだ拡大する可能性はあります。まず、1Aレベルの4軍で、アマ時代にケガなどがあったりして、成長し切れていない選手にチャンスを与えて、結果を出せば支配下に上げる。そうした仕組みで、強化を図っていきたい」と三笠GMは語る。

 そこで2023年は、3、4軍の非公式・練習試合を昨年の105試合から最大229試合程度まで増やしていく。その一環として、3月に早速、「薩摩おいどんカップ」というプロアマ交流戦に、3軍主体のチームで4試合に参加している。

 同カップは今年が初開催。大学、社会人、プロと、そのカテゴリーを超えた36チームが出場し、鹿児島県内の4市に分かれて、2月下旬から3月中旬にわたって繰り広げられた。

 ソフトバンクの3軍が対戦したのは、東大、八戸学院大、慶大、鹿児島のクラブチーム・鹿児島ドリームウェーブの4チーム。そのうち、慶大と鹿児島ドリームウェーブとの2試合を通して見えた「育成への新たな取り組み」に、ここでは触れてみたい。

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