侍ジャパンに「精神面」「体力面」で後遺症はあるか 「バーンアウト(燃え尽き症候群)は医学的に証明されている」

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バーンアウト

 だが、シーズンが始まると極度の疲労から体調不良に陥った。4月3日に精密検査を受けた結果、胃に出血性の潰瘍が認められ、自身初の故障者リスト入りとなった。ただし復帰後は好調で、最終的には9年連続200安打を達成したシーズンだった。

「なぜ後遺症が残るのか、スポーツ紙などでは、様々な理由が紹介されています。まず投手の場合は、“過剰適応”が挙げられています。WBC使用球とアメリカのマウンドに慣れすぎてしまい、日本でのピッチング勘が狂ったと証言した投手は少なくありません。打者の場合は疲労です。通常なら3月はオープン戦で調整している段階です。しかしWBCが開催されると、3月でも体調をトップギアに入れなければなりません。体にかかる負担は相当なものでしょう」(同・記者)

 野球解説者の広澤克実氏は「メンタルに及ぼす影響も大きいと思います。野球に限らず、あらゆるスポーツでは“バーンアウト”が指摘されています」と言う。

スケジュールへの悪影響

 厚生労働省のホームページはバーンアウトを《それまでひとつの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなること》、《日本語では「燃え尽き症候群」とも呼ばれます》と説明している。

「オリンピックでもメダルを取った選手がバーンアウトでモチベーションを失い、その後の成績が低迷することは珍しくありません。昭和のプロ野球では、セリーグの巨人戦の後、負けが込んでしまうチームがありました。巨人戦はテレビ中継されるため注目度が高く、チーム一丸となって対戦します。3連勝や勝ち越しを収めて成果を得ると、次の試合で意欲が低下してしまうのです」(同・広澤氏)

 プロ野球で最もよく起こるバーンアウトが、日本一に輝いた翌年のシーズンだという。だが、その対応は決して難しいものではないそうだ。

「翌年の1月や2月は練習に身が入らないものです。ただし、オープン戦で徐々に心身をフィットさせ、開幕戦にピークを迎えられるように調整します。それでも序盤は緊張のあまり本調子ではないこともあります。試合に出続け、微調整を重ねることで復調を果たすのです。ところがWBCに出場すると、こうしたスケジュールが全く狂ってしまいますから、選手は大変だと思います」(同・広澤氏)

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