冬ドラマでベストの演技を見せた俳優は誰か 男女の主演、助演で4人を選んでみた

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ベスト主演女優:安藤サクラ(37)日本テレビ系「ブラッシュアップライフ」

 安藤は2012年から18年の僅か6年間で、女優たちの憧れである「キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞」を3回も受賞している。紛れもなく国内トップレベルの女優だ。この作品での演技も頭抜けていた。

 安藤が演じた近藤麻美は計5回の人生を送り、5つの職業に就いた。北熊谷市役所職員(第1話)、薬剤師(第2話~第3話)、日本テレビ社員(第4話~第6話)、研究医(第7話~第8話)、パイロット(第9話~最終回)である。エンディング前には再び市役所職員になった。

 1クールのドラマで5役をこなしたことになる。その上、大学入学直後の18歳から40歳(最終回)まで演じた。それなのに違和感を抱かせなかったのだから、さすがである。

 単に髪型やメイク、衣装を変えていただけではない。大学の新入生だったころは学食でラーメンをすすりながら、上目遣いで周囲の様子を探っていた。右も左も分からない新入生にありがちな仕草だ。

 なっちこと門倉夏希(夏帆・31)、みーぽんこと米川美穂(木南晴夏・37)らとのカラオケでは思いっきり弾けた。観る側に私生活では37歳で1児の母であることを完璧に忘れさせた。生活臭を消すのは案外と難しい。

 日テレ社員時代の第4話の演技は傑作だった。麻美はミタコングこと中学時代の社会科教師・三田哲夫(鈴木浩介・48)が痴漢冤罪で逮捕されるのを防ぐため、北熊谷駅へ向かった。

 ミタコングを見つけると、背中を丸めて小走りで駈け寄り、キャップを抑えながら卑屈な笑顔を浮かべた。まるで、いたずらっ子だった。よく考えると、ミタコングにウソを吐き、痴漢にさせられる電車に乗せまいとしたのだから、実際もいたずらに近い。仕草が行動に合っていたことになる。芸が細かい。

 最終回。麻美はまりりん(後にまっちょ)こと宇野真里(水川あさみ・39)と一緒にパイロットとして、なっちとみーぽんを救った後、北熊谷市に戻る。

 その後、麻美の40歳の誕生日に、ふくちゃんこと福田俊介(染谷将太・30)ら中学の同級生がカラオケ店に集まり、プチ同窓会になった。この場の安藤の演技が抜群に良かった。

 麻美は幼なじみたちが楽しそうに歌う姿を慈しむように見つめた。やさしく、幸せそうな眼差しだった。直後にはいつも以上の勢いで熱唱した。麻美が5周目の人生をなっちたちの救出に捧げた理由が、カラオケ店のシーンだけでも伝わってきた。大切な人たちを守りたかったのだ。

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