「村上まで打ったら20点入っちゃうじゃないか」 辛口・権藤前投手コーチも絶賛の「侍ジャパン」中間報告

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「わざわざ球場近くのホテルを取ってくれて…」

 他方、今大会で印象が大きく変わったといわれるのが、ダルビッシュである。

「韓国戦で先発しましたが、3失点。調子は悪かった。しかし、チームの中からは変わらず頼りにされていますね」(前出・中堅記者)

 彼はメジャーリーガーとして唯一、宮崎での代表合宿から参加。若手の選手にピッチング指導をしたり、食事会を主催したりするなど、チームリーダーとしての役割を果たしてきた。

「その変貌ぶりには驚きました」

 とは、ノンフィクションライターの柳川悠二氏。同氏は宮崎キャンプを取材したが、

「以前のダルビッシュは、近寄り難く、興味のない質問をする記者とは目も合わせようとしなかった。常にピリピリした雰囲気がありました。しかし、今回は何を聞いても答えてくれそうでしたし、逆に取材陣を笑わせていたほど。若手選手も彼の元に集まり、本人も笑顔を振りまいていた。“妻が変えてくれた”と話していましたが、プロアスリートの手本のような言動でした」

 先の韓国戦では、実母に加え、中学時代の恩師と、高校時代の指導者の夫人を球場に招いたという。

「わざわざ球場近くのホテルも取ってくれてね。昔から思いやりのある子でしたが、うれしかったですよ」

 と、羽曳野ボーイズの山田朝生会長は目を細めるし、

「有くんのお母さんから、来てくださいってメールがあったんです」

 とは、東北高校野球部元監督の故・若生正廣氏夫人、正子さんである。

「うちの夫は2年前に亡くなりましたが、闘病中は“快方に向かったら、渡米して世界の舞台で活躍する有くんを見てみたい”と申しておりました。それができずに逝ってしまいましたが、その事情を察して招待してくれたのでしょう。観戦の翌日、お墓に寄って主人に報告しましたよ」

チームの雰囲気を明るくする伝統を継承

 変化の背景には、ある“大先輩”の姿がありそうだ。

「2回目の大会の時は、ダルビッシュはまだ若手でね」

 とは、前出の高代監督。

「緊張していましたけど、ある時、松坂がステーキハウスでの宴会でダルビッシュを呼びつけ、“こんなに背は高いけど、腕は短いんです”と笑いを取った。そんなこともあり、チームの雰囲気は良くなっていきましたね。そのダルビッシュが今度はチームをまとめている。伝統がうまく継承されている気がします」

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