大川隆法氏の死去を「地方のミニシアター」が憂うるワケ 「幸福の科学」映画と業界の知られざる関係性

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「そりゃ上映はしたくないけれど…」

 このように幸福映画は、制作、配給、劇場にウィンウィンの恩恵をもたらしてきた。劇場として不満点はないのだろうか。

「扱いを始めた頃は、信者さんがロビーで勧誘をするんじゃないかとか気にしていましたが、そんなことはありませんでした。ただ、幸福映画をきっかけにうちに来てくれた信者さんが、その後も別の作品を観に来てくれるかというと、そんなことはまずない。新作のたびに来場するものの、劇場の常連にはなりません」(先の劇場オーナー)

 そして、劇場の“イメージ問題”についてもこう語る。

「ほとんど教団の宣伝作品ですから、できるなら上映はしたくないというのが本音です。こっちだってプライドはありますよ。でも、劇場を存続させるには幸福映画に頼らざるをえない。潰したら、うちの劇場を大切に思ってくれるお客さんにだって迷惑がかかる。コロナ禍から回復してきたとはいえ、以前と比べたら客足は6割ほど。昔は家に居場所がないご老人が来てくれましたが、まだコロナ感染を警戒しているのか来てくれません。医療従事者の人たちも、やはり映画館は避ける。こんな現状ですから、ミニシアター関係者が集まると『うちも幸福映画をやることにしました』と、ちょっとバツの悪そうな報告をされることがあります。でも、気持ちは分かります」

 今では映画の上映にとどまらず、演劇が上演されるなど地域振興のイベント会場として活用されているミニシアターもある。そうした場所を残すためにも、幸福映画の上映は不可欠なのだという。知らない間に、わが国の映画文化は幸福の科学によって支えられてしまっているのだ。

 今年5月には新作「レット・イット・ビー~怖いものは、やはり怖い~」の公開が控えている。その後は、いったいどうなるのだろうか……。

デイリー新潮編集部

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