僧侶、年商170億円の社長、現場監督も… 元プロ野球選手たちが語る驚きのセカンドキャリア

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体重も15キロ減って

 明るいキャラクターが受け、バラエティー番組にも起用され、明石家さんまや島田紳助らと共演したが、9年後に所属事務所の社長が失踪。以来、解説の仕事が途絶えてしまう。途方に暮れる中、夫婦関係にも亀裂が入り、離婚。

「娘とも離ればなれになり、何も食べたくなくなって、酒浸りの日々です。体重も15キロほど減って、“ガンちゃうか”といううわさとか“死亡説”まで流れていたみたいです」

 トークショーや野球教室で2年ほどはしのいだが、経済的に厳しい状態に。その頃、親交が続いていた掛布雅之から電話があった。「仕事はどうだ?」と。「大変です!」と窮状を訴えると、阪神OBで、掛布のマネージャーだった西浦丈夫に連絡を取るように言われた。西浦は山河企画という建設会社を営んでいたからだ。

 後日、西浦に会いに行くと、「建設現場に出てみるか」と聞かれた。即座に「やります」と答えると、西浦からこう確認された。

「プライド、捨てられるか」

 過去のキャリアと決別できるかという意味だった。突破口を見つけたかった仲田は「もちろんです」と返した。

「生活をしていかんと」と怒りをのみ込み…

 しかし現場に行くと容赦ない洗礼を浴びる。

「落ちるところまで落ちたな」「おまえ、そんなことも知らんのか」、若い職人からも顎をしゃくりながら「おい、アレ取ってくれ」と言われる始末。カチンときたが、「生活をしていかんと」と怒りをのみ込んだ。

「ただ、職人さんの中には、そんな僕を見て、“よぉ我慢しとる”と思ってくれる人がいて、徐々に信頼してもらえるようになりました」

 職長・安全衛生責任者の講習を受けて、現場監督の仕事を任されるようになった。作業内容に応じて職人や重機、材料などを手配し安全に作業が行われるよう管理する仕事だ。最初は“よそ者”扱いだったが、次第に「マイクさん」と呼んでもらえるようになる。

「昨年、阪神が最下位やった時、『マイクさん、ピッチングコーチ行ったら!?』とか『(来る)グラウンドが違うで』とか突っ込まれて和んでいました(笑)」

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