松坂大輔、西武臨時コーチで若手投手陣に伝えた“投球の神髄”を探る!

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“レジェンド効果”を実感

 ただ、指導者としての厳しい一面以外に、ほのぼのさせられるシーンがあった。
松坂ファンを公言してやまない来日2年目の外国人投手・日系ブラジル人3世のボー・タカハシが「本当に本当に信じられない気持ち」と声を弾ませたのは、13日の練習中のことだった。憧れの人・松坂コーチに自らお願いして、キャッチボールが実現したのだ。

「私にとってのヒーロー、アイドル。夢がかなった」

 大喜びしたボーは、ブルペンでも松坂コーチが見守る前で投球練習。昨季はリリーフで27試合に登板した右腕は「松坂さんからいろいろと学んで、この前の投球と比べて良くなっていることに気づきます」と“レジェンド効果”を実感している。

“任期満了”の最終日・14日も、ブルペンで今井や佐藤らの若手投手陣を熱心に指導した。

「僕は、単純に投げている姿を見るのが好きなんです。たくさん見て、どんな活躍をするのかをイメージしながら、ですね。なんか結局は、自分がうまくなるために今、見ているような気がします。引退はしましたけど、野球がうまくなるヒントをつかめるよう、現役を辞めてからも、毎日が勉強です」

 指導初日には、このように飽くなき向上心を見せていた松坂コーチだったが、日を追うごとに“コーチとしての喜び”も強まってきたようだ。

「3日目、4日目になるにつれ、選手の方からも積極的に声をかけてきてくれましたし、チームを離れるのはちょっと寂しいです」

 一昨年に現役を引退してから、初めてとなる本格指導だった。その端的で、明快なアドバイスはもちろん、あれこれ口を出しすぎず、まず“見守る”というそのスタイルも、現役世代の選手たちには、うまくフィットしたのかもしれない。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)。

デイリー新潮編集部

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