米国82%、ロシア78%、日本はわずか0・02%…核シェルターの普及率が極めて低い根本的原因

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日本人の意識

 コスト負担に加え、「日本人の核アレルギー」も核シェルター整備の足枷になっている(2022年12月4日付産経新聞)。核シェルター協会の関係者は「核シェルターの必要性を60年間訴え続けてきたが、今でも『核』というだけで周りから白い目で見られる」と苦しい胸の内を明かしている。

 国民の命を守ることができる核シェルターが敵の核攻撃を断念させる効果を有する点も見逃せない(抑止力)。皮肉なことだが、日本は唯一の被爆国でありながら、抑止力が乏しいがゆえに核攻撃を最も受けやすい国の1つになっているのだ。

 核シェルターの普及率の低さは、日本人の安全保障に対する意識の希薄さのあらわれに他ならないが、核兵器使用の危険性が高まっているからと言って、今さら核シェルターを整備しようとしても「泥縄」だろう。

 日本が今なすべきことは、ウクライナ戦争のせいで世界政治が転換点を迎えないよう、公平な立場に立って、世界の紛争回避のために最大限の努力をすることではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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