有名局アナが異業種へ続々転職…TBSでアナウンサー人生を貫いた「吉川美代子さん」が語る“昔と今の違い”

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国山アナと安住アナ

――異業種に転職してもアナウンサーとしての経験を活かす人もいる。

吉川:国山ハセン君とは、昨年12月18日の「放送の日」で共演しました。彼が司会を務め、私はコメンテーターとして参加しましたが、その時に彼から転職の報告を受けたんです。「喋んなくなっちゃうの?」と聞いたら、「そうじゃなくて、これからも伝える仕事があるんですよ」と言っていたので、「今までの経験が無駄になったらもったいないものね」なんて話したんです。局アナとしての技術や経験が活かせて良かったと思っています。

――国山アナの入社は2013年なので、14年に定年退職した吉川さんとも関わりがあったのだろうか。

吉川:入社前のセミナーと研修の講師を私が担当しました。技術的には鍛えればどうにかなると思いましたし、彼の明るさはとてもいいと思って高く評価していました。同期にはほかにも安定感のある方がいましたけど、彼には周りの人を引きつける魅力がありました。最近、才能が花開いたと思っていたんですけど。

――国山アナは「週刊さんまとマツコ」に出演した際、やりたい番組は安住紳一郎アナ(49)に行ってしまうと嘆いたこともあったが。

吉川:そうそう、冗談だとしても本音の部分もあったでしょうね。ただ、会社組織ですから、必ずしも自分がやりたい仕事ができるわけじゃない。

――安住アナは「喉から血が出るほど吉川さんにしごかれた」とテレビで語ったことがある。彼も吉川さんの教え子の一人だ。

久米宏アナの時代は良かった

吉川:各局とも同じだと思いますが、安住君のような一部の人気アナが脚光を浴びて、その人に仕事が集まってしまう傾向があります。それ以外の局アナは、あまり使ってもらえない。日テレの新しい朝の情報番組だって、NHKから来る武田真一アナ(55)がキャスターですからね。もちろん、それは昔からあることですけど、最近はそれが特に加速しているような気がします。

――安住アナは辞めないのだろうか。

吉川:定年まで勤めるんじゃないでしょうか。すでに大ベテランになっていますから、フリーになるタイミングが難しいと思います。引き留めるために会社は彼を大事にしています。逆に安住君は他局のどの番組をやりたいだろうと考えてしまいます。よほど満足できる番組でなければ、フリーにはならないでしょうね。

――TBSにはフリーになって大成功した久米宏アナ(78)もいた。

吉川:久米さんはフリーになるタイミングも良かったし、TBS内にも彼を支える優秀なブレーンがいたことが大きかったと思います。だからフリーになってもTBSの「ザ・ベストテン」の司会を続けることができたし、その後は「ニュースステーション」(テレ朝)のキャスターに転身することもできた。テレビ業界全体に勢いがあったときにフリーになった、本当にいい時代だったと思います。それに比べると、今は視聴率が20%を超える番組もなかなかないし、業界全体のパワーが落ちていると思います。

――吉川さんはフリーアナになろうとは思わなかったのか。

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