中日新聞が「ウィシュマさん監視カメラ映像」で女性看守の発言を“聞き間違い報道” 望月衣塑子記者も法相会見で追及していた

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「励ましていたのではないか」という声も

 単なる聞き間違いだったとしても、読者が受ける印象はだいぶ変わる。記事には女性看守が《明るい声》で語りかけていたとも記述されており、「そんなので…」という発言からは看守が逼迫していたウィシュマさんの病状を軽視していたという印象を強く受ける。だが、もし「サンダマリ、死んだら困る」と《明るい声》で語りかけていたとすれば、逆に励ましていた可能性もある。

 実際、視聴したメディア関係者からは、「女性看守はちゃんと対応していたような印象を受けた」という声も上がっているという。

 もっとも、中日新聞も伝えているように、病院に連れていってという訴えが受け入れられないまま、ウィシュマさんが亡くなってしまったのは事実であり、入管の医療対応に問題があったという批判は免れない。5時間の映像には、日を追うごとに弱っていくウィシュマさんのうめき声や悲鳴をあげる様子が映っていたと、中日新聞だけでなく各紙が報じている。

 だが、映像を見た遺族側が「動物のように扱われていた」と主張している点については、入管関係者や永田町関係者から「言い過ぎではないか」という反論も出ている。中日新聞の報道が聞き間違いだったとすれば、女性看守の名誉を毀損したとの批判も招きかねず、波紋を呼びそうだ。

「そんなので発言」で法相を追及していた望月記者

 法務省は今国会で、不法滞在の外国人が入管施設で長期収容されている問題を解消する入管法改正案を提出する予定だが、反対派はウィシュマさんが死亡した問題を引き合いに出し、「人権侵害を放置・助長する改悪」と反発を強めている。その急先鋒となっているのが、齋藤健法務相の閣議後会見に毎回のように参加し、法改正をしないよう要望するかのような質問を繰り返している東京新聞の望月衣塑子記者である。

 報道があった日も、望月氏は「そんなので発言」を取り上げて、齋藤法相を追及していた。下記は望月氏の質問内容である。

「今日の中日新聞朝刊社会面で、名古屋地裁でウィシュマさん事件に関して、開示された地裁で出す証拠をビデオで見るということをうちの担当記者が行いました。様々、報告書にこれまでなかったことも指摘されていまして、例えば2月23日、ベッド上でウィシュマさんが吐いて『死ぬ』とうめいている彼女に、女性看守がかなり明るい声で『大丈夫。死なない。そんなんで死んだら困るもん』などと応じているという様子が出ていたなど、色々ありますが、見た記者によると、非常にかなりショックを受けて、しばらく寝られなくなるのではないかというようなことも指摘されていました」

 2月17日、「デイリー新潮」が出入国在留管理庁に事実確認を求めたところ、担当者は「(『そんなので発言』は)事実ではありません」と否定し、中日新聞の報道に聞き間違いがあったとの認識を示した。ただし、中日新聞に抗議等はしていないという。

 中日新聞にも見解を聞いたが、「ご指摘があった点については確認します」(中日新聞編集局)との回答だった。

デイリー新潮編集部

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