どうする韓国、中国が怖くて半導体封鎖に加われないのか 「ホワイト国」に再指定すれば日本も同罪

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対ロ制裁でも米国を裏切り

――「脅し上げる」必要はあるのですか?

鈴置:おとなしく頼んでいては、韓国は言うことを聞きません。2022年2月のウクライナ侵攻に伴う対ロシア制裁の時もそうでした。米国は金融制裁に加え、半導体など7分野の対ロ輸出中断を西側の国に要請しました。

 日本や欧州など西側の32カ国は直ちに応じましたが、韓国だけが色よい返事をしませんでした。対ロ封鎖網に世界最大のメモリー生産国の韓国が加わらなければ意味がありません。

 そこで米国は7分野に関し、韓国の対ロ輸出を全てチェックすると宣言。それらの製品は米国の技術によって生産されているとの理屈です。輸出1件ごとに米国にお伺いをする羽目に陥った韓国は困り果てました。

 国務省傘下のVoice of America(VOA)も「[ワシントン・トーク]韓国、ウクライナ事態に微温的…米国との同盟から離脱するな」(2月26日、韓国語版)で核軍縮の専門家、M・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)CSISフェローの言葉を借りて韓国を以下のように罵倒しました。

・今回のロシア侵攻に対する国際的な対応の特徴の1つが米国とほとんどの同盟国がひとつの心、ひとつの意思で行動した点だ。ある1国[韓国]を除き、すべてがロシアに対し厳格な制裁を加えた。
・韓国の小心で微温的な手法は率直に言って恥ずかしいものであり、愚かである。恥というのは、韓国は過去に侵略の被害者として大々的な援助を貰ったし、それが再び起これば助けをまた受けるからだ。
・韓国の経済規模はロシアよりも大きい。それにも関わらず、じっと座りこんで多者間の措置だけをとるつもりだと言っている。
・しかし、多者的な制裁はすでに施行されている。米国のほかのすべての同盟国はその措置をとった。そのうち、一部は独自の措置をとっている。韓国も前に出て同じようにせねばならない。

 米国の怒りに驚いた韓国は3月になって要求を受け入れました。が、米国は「肝心な時に裏切る韓国」に改めて気付きました。韓国には要請ではなく恫喝しかない、との思いを増したことでしょう。

「封鎖網」でも続く小田原評定

――韓国は左派政権だった……。

鈴置:ええ、文在寅(ムン・ジェイン)政権でした。しかし、当時、保守政党の大統領候補だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏も「[対ロ]経済制裁により、我が国の企業が被害を受けないよう徹底的に備えよ」と語っていたのです(『韓国民主政治の自壊』第1章第1節「西洋の没落に小躍り」参照)。

 文在寅政権も尹錫悦政権も同じ穴のムジナです。左派だろうが保守だろうが、韓国人には民主主義を守るために専制に立ち向かう気概はありません。

――対中半導体封鎖にも加わらない?

鈴置:小田原評定が続いています。「中国のメモリー市場ではいずれ中国メーカーに追いつかれてシェアを落とす」との見通しから「製造装置や素材分野で供給を頼る西側に属した方が得だ」との主張もあります。

 その典型である韓国貿易協会の「封鎖参加論」は「半導体戦争で板挟みになる韓国 米国の圧迫と中国の嫌がらせ…頼みの綱は日本の輸出管理撤廃」で紹介した通りです。

 一方、不参加論も根強い。政府系機関、対外経済政策研究院(KIEP)のキム・フンジョン院長は2月3日、「2023 経済学共同学術大会」の基調演説で「特定の国を排除すべきでない」と訴えました。

 聯合ニュースの「メモリー半導体の輸出の過半が中国向け…特定国の排除ではなく多重的な協力が必要」(2月3日、韓国語版)から発言を拾います。

・昨年の韓国のメモリー輸出のうち、中国向けが51・3%を占める。この輸出代金が韓国の技術競争力を支え、源泉技術投資の際に必要な資金となっている。
・現在、論議されている地域と供給網に関する協議体は米国、豪州、日本を中心とし、中国排除の性格が極めて濃いのが特徴だ。韓国はその中の一部だけに参加している状況だ。
・韓国は米国、日本だけでなく中国、ASEAN国家とも密接な関係を結ぶ国だけに、多者主義の回復が国益として必須である。
・それゆえに韓国の対外戦略は特定国排除ではなく、多重的な協力により全ての利害当事国との協力を強化することを目標とすべきだ。

 色々と理屈をこねていますが、要は「中国に逆らうな」と国民に呼びかけたのです。

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