男性より女性に筋トレが必要な理由は? 要介護期間を短くするための「スマート・エイジング」実践術

ドクター新潮 ライフ

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定年後の「社会性」確保術

 他方、前頭前野が活発に活動するのは、例えば大きな声で音読する時です。また、手を動かしてメモを取る時、さらには簡単な計算を素早く解いている時も同様です。難しい計算問題と異なり、簡単な計算を素早く解くと前頭前野の神経細胞そばの毛細血管の血流が増え、脳活動が活性化するためです。

 ですから、前頭前野を活性化するには、音読、手書き、簡単な計算の三つが効果的です。例えば1日1度800字前後の文章を音読するのでも効果があります。ちょうど新聞の社説がそのくらいの分量になります。しかし、社説のような硬い文章の音読は楽しくないという方には、好きな詩の朗読などをお勧めします。

 この他、スマート・エイジングの実現には、栄養に気を付けることなども関わってきますが、ここではもうひとつ「社会性」を挙げておきたいと思います。社会との接点を失い、コミュニケーションの機会が減って孤独になってしまうことは心身ともに悪影響をもたらします。特に定年退職後の男性は、そうした事態に陥りやすい。

 それを避けるために、家庭と職場以外の「サードプレイス」を作っておく重要性がよく指摘され、定年後にボランティア活動に参加することなどが推奨されています。もちろん、人と交流する機会を失わないのはとても大事なので、ボランティアに参加するのも、それが実践できるのであればスマート・エイジングにとって有効です。

最もハードルが低いのは「仕事を続けること」

 しかし現実問題として、会社人生で年功序列の「上下関係」に染まってきた男性が、いきなりボランティア活動に飛び込み、フラットな関係の中でうまく過ごすのは決して簡単ではありません。

 従って、男性にとって最もハードルが低く、且(か)つ実利も得られるのは仕事を続けることです。今の社会において、年金だけで悠々自適という人はそう多くはありません。働くことで、年金では不足しがちな生活資金を補え、同時に社会性も失わずに済む。両方の面から考えて大切なのは、お小遣い程度でも構わないので好きな仕事をすることです。苦痛なアルバイトをして稼いでもストレスが増えてしまっては、本末転倒になります。

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