男性より女性に筋トレが必要な理由は? 要介護期間を短くするための「スマート・エイジング」実践術

ドクター新潮 ライフ

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「年齢の壁」

 それでは私たちは、どう賢く加齢に対処すべきなのでしょうか。

 なによりも、最後の10年も自立的に生きることがスマート・エイジングにつながります。そのためには、当然ながら健康であることが大事になります。

 そこではじめに、健康が損なわれる、つまり要介護状態となる「年齢の壁」について説明したいと思います。

 厚労省の介護給付費等実態調査(2017年5月審査分)及び総務省の人口推計(同年5月1日確定値)によると、70~74歳の要介護認定(要支援)率が6.1%であるのに対し、75~79歳は12.9%、80~84歳は28.1%、85~89歳では50.3%と急激に上昇します。この数字から75歳がターニング・ポイントであることを意識する必要があるでしょう。

介護が必要になる直接の原因は?

 次に、介護等が必要になった直接的な原因は何かを見ます。厚労省の国民生活基礎調査(2016年)によると、1位は認知症で全体の18%、2位は脳梗塞などの脳血管疾患(脳卒中)の17%です。一方、認知症になる原因の約30%は脳卒中が占めます。このことから、脳卒中をいかに防ぐかが、介護等のお世話にならず、最後まで自立的に生活する大きなカギであることが分かります。

 そして、脳卒中は主に高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病に伴う動脈硬化によって引き起こされます。したがって、生活習慣病をいかに予防するかで、スマート・エイジングの実現が大きく左右されます。ちなみに、昨年末に惜しまれながら60歳の若さで亡くなったバンド「C-C-B」のボーカル・ドラマーの笠浩二さんも糖尿病を患い、死因は脳梗塞、同様に61歳の若さで亡くなった俳優の渡辺徹さんも糖尿病だったことが思い出されます。

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