小池都知事、子育て支援策で再びスポットライト 国政復帰、来年の都知事選への意欲は?

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 18歳以下の子どもに一律月額5千円を給付する東京都独自の子育て支援策を公表した小池百合子知事(70)。その「真意」に注目が集まっている。

 年明けの職員向けあいさつで唐突に構想を表明し、2歳までの第2子の保育料無償化なども含めて総額1.6兆円を今年度当初予算案に盛り込むことも発表。13日の定例会見では「国は遅いの一言」と攻勢をかけ、「異次元の少子化対策」なるダサいフレーズを唱える岸田文雄総理(65)との差をことさら強調する作戦に出た。

 小池氏が今回、特に意識したのが所得制限の撤廃だ。「働いて税金を納めているのに給付対象にならないのは、あたかも罰を受けているようだ」と発言。折しもSNS上では、高所得者が所得制限のせいで給付を受けられないことへの不満や「子育て罰」といったワードが話題で、世論に敏感な小池流の面目躍如だった。

子を持たなかったことを悔いる発言

 小池氏に結婚経験はあるが子どもはおらず、過去のインタビューでは子を持たなかったことを悔いるような発言もしている。その思いの表れか、国会議員時代には液体ミルク普及や、婚活・街コン推進議連会長として“出会いの場”のプロデュースに奔走。都知事としても2021年、10万円分の出産支援ポイント給付を導入するなど、子育て政策がウリである。

 当初、「少ない」と不満が聞こえた5千円給付は「1年分一括で6万円給付する」形がとられ、見かけ上“増額”された。

「岸田政権が防衛増税で批判される中、子育てにお金を使うならいかにバラマキでも批判は少ないと判断。議会も反対しにくいというしたたかな計算も透けて見える」(都政関係者)

国政復帰の可能性

 そんな小池氏も、すでに知事2期目の第3コーナー。昨年の参院選では側近の元都議を当選させられず、存在感は薄れる一方だったが、今般、再びスポットライトを浴びることに成功した。

 2期目をコロナ対応に追われた小池氏には、先を見据えた次のウリが必要だ。

「総理は出産一時金を42万円から50万円に8万円増やしたと胸を張ったが、アピールとしては弱い。しかも10万円の出産準備金を巡っては現金かクーポンか、3年前の10万円給付問題と同じく物議を醸した。昨年末、出生数80万人割れ予測が発表され、小池氏はここが勝負どころと踏んだわけでしょう」(自民党関係者)

 小池氏は「小池百合子と『東京の持続可能な成長を進める』勉強会」という政治資金パーティーを例年開いている。20年、21年はコロナ禍で見送られたが、

「昨年5月に再開。その会は空席が目立ったものの、11月の会では弁当も出され、しかも以前より豪華。用意した数のイスでは足りずに追加もされた。小池さんは最後まで写真撮影に応じ、ご機嫌でした」(支援者)

 常にささやかれる小池氏の中央政界復帰は総理の解散戦略次第のため流動的だが、自身と関係が近い国民民主党が連立政権入りすれば、それをテコに国政に関与する道もある。来年の都知事選に向けても小池氏を脅かす存在は皆無。「東京の未来を」という美名の下、己の将来に備えた最善手をまんまと打った小池氏だった。

週刊新潮 2023年1月26日号掲載

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