五大医学誌が発表「認知症発症リスクは40%低減できる」 実現するために必要な「五感トレーニング術」とは

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

Advertisement

友だちとの会話に落とし穴

 こうして嗅覚をはじめ、五感を鍛えることで人間らしい活動をいかに保つかが認知症予防の要であるわけですが、最も人間らしい行為といえばコミュニケーションでしょう。

 人といかに交流するか。とりわけ社会との接点が薄れやすいリタイア後も、地域活動やボランティアに参加するなどしてコミュニケーションを絶やさないことが重要です。

「私は大丈夫。いつも気の置けないお友だちとお話をしているから」

 と、安心されている人もいるかもしれません。しかし、そこには落とし穴が潜んでいます。気心の知れた人とばかり喋っていても、意外と効果は薄いのです。そうした関係だとお互いに大体どんなことを話すかが予測できてしまい、会話によって脳があまり刺激されない。新しいコミュニティーと接することで、脳はより刺激されるのです。

 とはいえ、無理をし過ぎるとストレスとなり、脳に悪影響を与えてしまう可能性もあるので、まずはよく行くお店の店員さんに軽く話しかけてみるとか、普段はあまり話さない孫に電話してみることなどからチャレンジしてください。認知症予防のためにストレスをため込み、脳が疲れてしまうのは本末転倒以外の何物でもありませんからね。

浦上克哉(うらかみかつや)
鳥取大学医学部教授・日本認知症予防学会理事長。1956年生まれ。鳥取大学医学部大学院博士課程修了。2011年に日本認知症予防学会を設立。NHK「あさイチ」等、多くのメディアに登場している。『今からできる! 認知症をふせぐ五感トレーニング』等の著書がある。

週刊新潮 2023年1月26日号掲載

特集「4人の賢者が徹底解説! 決定版『認知症』の『予防と対策』全知見」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。