菅前首相の「アンチ岸田発言連発」の真意は「選挙に弱い議員の受け皿になる」こと

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脱派閥という持論

 今年に入って菅義偉前首相は、文藝春秋2月号に「派閥政治と決別せよ」との論考を発表。さらに続けざまに「防衛力強化」や「異次元の少子化対策」について増税でまかなうことに苦言を呈するなど、ある意味で岸田文雄首相への批判とも取れる発言を連発している。そこにどういった狙いがあるのか?

 まず、文藝春秋2月号の論考について、中身はざっと以下の通りだ。

・国民の声が政治に届きにくい要因の1つに派閥の存在がある。
・私(菅氏)は過去2度、自民党総裁選で所属派閥の考えとは違う人間を応援した。
・小渕派にいたときに小渕恵三氏ではなく梶山静六氏を支持し、全盛期の野中広務元幹事長に「あいつだけは許さねえ」と言われたことがある。
・私が首相の時には派閥の推薦を受けずに人事を決めた。一方の岸田首相は未だに派閥を抜けず、派閥とうまく付き合いながら人事を決めている。
・それでは派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の見る目は厳しくなる。
・私を支持する議員集団は派閥とは全く違う。

なぜこのタイミングなのか?

「直近の自民党政権で派閥を離脱しなかったのは麻生太郎さんだけ。まあでも、今回訴えた派閥問題は菅さんのかねての持論であり、あくまでも大義名分であって、そこまで深く突っ込んだり追及したりするつもりはなさそうです」

 と、政治部デスク。

「ただ、持論だということは永田町の人たちはみな知っていることで、なぜこのタイミングで発表されたかには意味がありそうです」(同)

 機を同じくして、ラジオ番組に出演した菅氏は、防衛力強化については必要性を訴えつつ、「防衛増税」について「突然」「丁寧な説明が必要」と指摘。加えて、「異次元の少子化対策」に関して、党内に財源を消費増税に求める意見があることについて「何をやるかのメニューが(少子化対策について具体的に)出ていない中で消費税(増税)の議論はありえない」と苦言を呈している。

「その番組で言っていたのは、防衛費については行政改革などをしたうえで、どうしても財源が足りないということで増税をお願いするというのが筋だろうということでした」(同)

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