菅前首相の「アンチ岸田発言連発」の真意は「選挙に弱い議員の受け皿になる」こと

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オレは受け皿になり得るよ

「永田町にいる人なら防衛費の増強が懸案だということはよくわかっているわけですが、国民全体にそれが広まっているかというとそんなことはない。まずはそこを丁寧に説明し、財源の捻出に努力すると、岸田首相はと言えばよかった。”それを将来世代に対する責任だ、増税は不可避だ”と言い出すから、ついていけない人がたくさん出てくるんだと思います」(同)

 一般の国民には、菅氏の主張の方に理があると受け止められそうな感じである。一方の少子化対策については、

「岸田首相は異次元とだけぶち上げましたが、中身はこれからの議論次第という状況です。そんな中で自民党内から、財源は消費増税でという声が出てきたことについてナンセンスだと言っているわけです」(同)

 これももっともだ。こういった菅氏の「増税批判」発言には狙いがあるようで、

「増税を訴えて選挙をやると勝てないか、決まって苦戦します。とりわけ選挙に弱いとか常に当落線上にいる人たちにとっては死活問題。今回の菅発言はそういった人たちに対して、”オレはお前たちの受け皿になり得るよ”というメッセージでしょう」(同)

屈伸運動を始めた菅氏

 岸田首相(自民党総裁)の総裁任期は来年秋まで。

「それまでに一度、解散総選挙を行ってそれに勝利し、その勢いで総裁選を無風にしてしまおうという思いが岸田首相やその周辺にあるとの見方が根強くあります。今年の解散確率はそれなりにあるので、菅氏としてはこれに対応すべく本当にゆる~くではありますが”屈伸運動”を始めたくらいの印象を持ちました」(同)

 内閣支持率が今後も伸び悩むのであれば、「増税を主張する人気のない首相で選挙は闘えない」とのムードが醸成され、「岸田おろし」に繋がっていくわけだ。その時、「増税反対」を明確にしていた菅氏の存在感はより大きくなる。

「菅氏自身、再登板は眼中にないようですが、非主流派に甘んじてきた中で、どこかで立場の逆転を狙っていることは間違いありません」(同)

 永田町が表向きには政策を闘わせる場だとしても、ひと皮むけば権力闘争の場にすぎないことを感じさせる動きではある。

デイリー新潮編集部

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