大河オタク・松村邦洋が熱弁する「歴代ベスト5」 家康主人公作品が二つランクイン

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キャスティングに衝撃を受けた第3位は?

〈今年の「どうする家康」まで大河は62作。最も登場している歴史上の人物とはその家康で計25回も出ているという。かくも大河に欠かせない人物となっているが、松村もまた「家康愛」は深く、歴代大河第3位、4位に選んだのも家康が主人公の作品だ。〉

 3位は1983年の「徳川家康」ですね。滝田栄さんを家康役に抜てきした。これに尽きます。

 それまで大河で家康役を演じた役者さんといえば、「黄金の日日」の児玉清さん、「おんな太閤記」のフランキー堺さんとか、丸顔でぽっちゃりめのタイプが多かった。よく見る肖像画の影響でしょうが、あれは晩年のもので、家康は初めから太っていたわけではないんです。

 先日、歴史学者の小和田哲男さんにお話を伺ったんですが、先生によれば、明治時代、徳川を倒した新政府はどうしても家康に悪役のイメージを植え付けたかった。そのため「タヌキ親父」と言われ、人をだまかすずるい男という像で語られることが多かったそうなんです。

 僕もそのイメージで、戦国武将といえば信長、秀吉だったんですが、それを一変させたのが「徳川家康」でした。身長180センチ超、二枚目の滝田さんの家康。信長の命で妻を殺され、長男を殺されても耐えぬくとんでもなく強い人ですよね、家康は。

 それに、信長、秀吉と違って家康は最期まで家臣を大事にしていましたから、生前はもちろん、死んでも裏切られることなく、大きな争いもないまま15代にわたって江戸幕府が続きました。僕も仕事がうまくいっている時に勘違いしてしまった時期があったから少しはわかりますが、人ってうぬぼれると自分を見失うことがあるじゃないですか。でも家康はどれだけ偉くなっても、「我以外みな師」を貫き、家臣の意見に耳を傾け続けた。今はやりの「聞く力」ですよね。そんなかっこいい男だと気付かせてくれたのが、大河の「徳川家康」だったんです。

第4位も家康が主人公

 こうした新たな家康像を生み出したのは、「葵 徳川三代」も同じです。これが僕の中での4位ですね。主人公の家康役は津川雅彦さん。ちょうど2000年のドラマで、初の全編ハイビジョン撮影でした。多額の制作費がつぎ込まれ、特に関ケ原の合戦のスケールの大きさには驚かされましたよ。

 ジェームス三木さんの脚本が素晴らしかった。津川さんの家康は爪をかむのが癖なんです。「泣くまで待とう」ではなく、いつになったら天下が取れるのかとイライラしている家康……。「忍耐強い」ではなく、せっかちな家康像を作りました。これは新鮮でした。

 今度の「どうする家康」では、やはりかっこいい松本潤さんが主役。どんな家康を見せてくれるのか楽しみですよね。

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